設計段階のVEにおける不具合未然防止方法に関する研究
顧客要求の複雑・多様化や製品のライフサイクルの短縮化が進んでいる今、機会損失を防ぎ、効率的に価値ある製品やサービスを市場に提供することが求 められる。そのため、製品開発プロセスの中心活動である開発・設計業務においては、従来にはない機能や構造を有した製品やサービスをより安価でより短納期 で創造していくことが必要になる。その実現を可能にするのが機能的アプローチであり、VEである。
一方、設計案に対して確実な機能の達成を 実現するためには、設計過程において設計案が有する潜在的な不具合因子を漏れなく抽出・克服し、技術性評価においてもその達成を漏れなく評価しなければな らない。そのためには活動メンバーの固有技術のみならず、組織内に蓄積されている過去の経験・知識を有効活用する必要がある。
本論文では、組織内に蓄積されている過去の不具合情報を、未然防止に役立てられるように設計知識として機能ベースで構造化して整理するモデルを提案するとともに、設計段階のVEにおける活用とその有効性を証明することを試みた。