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「VUCA時代」の「経営VE」を進める上での課題は、激変する経営環境に対して、経営戦略をいかにスピーディにシフトさせるかである。そのために、中長期経営計画の策定や戦略管理、組織の変革、事業再構築の実施、経営システムの構築などをスピーディに実行する必要がある。これらの施策をスピーディに実行させるためには、企業価値の現状を正しく、スピーディに把握することが最も重要である。本研究では、スピーディな企業価値の現状把握をする手法として、企業の合併や買収などの際に対象となる企業の価値やリスクを詳しく把握するために実施される「デューデリジェンス(DD:Due Diligence)」とVEを融合させた企業価値評価技法を開発した。これにより企業の現状価値を正しく、スピーディに把握し、経営戦略をスピーディに策定できるようになるものと考える。

経営改革手法として、製造業を中心に成果を出してきたバリュー・マネジメント(VM: Value Management)であるが、非製造業と呼ばれるIT企業や商社、保守、飲食などのサ ービス企業でも、バリュー・マネジメントによって、効率的な業務と価値ある新サービス の創造で企業価値の向上に取り組む企業が増加している。成熟化する国内市場では、「モノ からコトへ」の消費の変化によって、今後もサービス企業は増加が期待される。 そこで、サービス業の経営改革手法として、より効果が出るように、ワークアウトや Fast Works といった経営改革手法とバリュー・マネジメントを融合させた、新たなバリュー・ マネジメント手法(顧客指向バリュー・マネジメントVMC: Value Management for Customers)を開発した。より高い満足を迅速に顧客に提供するために、効率的な業務と価 値ある新サービスの創造を加速し、企業価値を向上させる経営改革手法である。

日本の経済成長の背景には、製造業の発展が大きく関係している。その発展にVEの存在は欠かせないものである。戦後復興に大きな役割を果してきたとも言える。一方で、製造業以外の一般企業では、VEの考え方を企業経営に導入して発展をしている企業はあまり多くない。むしろほとんど見当らないのが残念である。

VEの最大の特徴は、機能的研究法、すなわちファンクショナル・アプローチにある。その考え方は、企業経営を助ける優れた考え方である。多くの企業が行っている現行の経営に直ぐに導入できる程、汎用性が高いものである。例として、SWOT分析、3C分析、4P理論、ブルーオーシャン戦略、パーキンソンの法則、ピーターの法則を挙げる。

そして、企業経営に必要な4つ(経営、営業、管理、改善)のシステムを提案し、そのそれぞれにファンクショナル・アプローチを組み込んでいくことで、これからの時代を生き残る企業としての経営上の示唆を与える。