機能的アプローチを融合した不具合対策プロセスの検討
不具合事象の対策には、①不具合事象の把握、②要因解析、③改善策立案という原因追求型の問題解決プロセスがとられることが多い。いわゆるQC的問題解決プロセスである。
こ のプロセスの中心的な活動は、不具合の発生原因を想定し、それが真の原因かどうかを確認するという仮説・検証プロセスであり、この要因解析プロセスをいか に迅速かつ確実に実行できるかがポイントになる。つまり、設計時に気づかなかったような原因が仮説・検証されてこそ効果的な改善案の立案ができるわけであ り、そのためにはメンバーの思考を変革する必要がある。
一方、組織としての設計力を継続的に向上させていくためには、発生した不具合事象や その発生メカニズムの論理構造、およびその具体的対策方法などを設計知識として組織内に蓄積し、今後の設計やクレーム対策に役立てられるよう伝承していく 必要がある。いわゆる技術蓄積・技術伝承である。効果的に技術を伝承していくには、やみくもに情報を残せばいいというものではなく、再利用性に優れた形で 体系的に蓄積していく必要がある。
そこで本論文では、機能面からの視座を加えることによる原因追求の多観点化と、機能系統図上に整理された設計知識の再利用性に着目し、不具合対策プロセスに機能本位の思考を取り入れることで、
① 具体化過程で発生した不具合事象の迅速かつ確実な改善案立案
② 不具合知識の機能系統図上への蓄積
を実現する不具合対策プロセスを提案する。