論文キーワード: 線形情報統合法 3件

本研究は数多くある競合製品の主要な機能を対象にし、その標準的売価の設定に不可欠な予測売価の合理的な算出法を提案し、その有用性を明らかにするものである。

本研究では、標準的売価は予測売価に戦略的要素を加味して決定されると考え、この予測売価の合理的、かつ、実践的な新しい算出法を提案する。その骨子は次のようである。

本研究は潜在顧客を対象とし、特定の製品機能の評価額をある幅をもった金額帯で評価してもらい、この評価額を平均値(加重平均)、最頻値(モード)、中央値(メジアン)の3つの統計量でとらえ、これに数学的分析を加えることによって機能評価額の3つのタイプの代表値を算出し、それら3つの機能評価額の代表値の特性を生かして、潜在顧客の当該機能に対する評価額に基づく予測売価を戦略的に算出する方法を提案するものである。

企業にとって製品のシリーズ化は、既存技術や改良技術によって既存市場を深耕していく上で非常に有効な販売戦略である。この戦略の下にメーカーは価格づけを行うが、その合理的な根拠は明らかではない。望ましいのは顧客の視点に立ったシリーズ製品の合理的な評価法の確立であるが、現実にはまだなされていない。

本研究はこの方法論の確立を指向したものである。シリーズ製品の例としてカラーテレビを取り上げ、まず、アンケート調査によって調査対象者にシリーズ製品のそれぞれの評価とこれらの製品間の性能差を評価してもらう。次いで、調査対象者の個々人の暖昧な評価額を統合する。さらには、調査対象者全体の代表的評価額と購入率を算出する。これらのプロセスを経ることにより、シリーズ製品の金額評価を合理的に行う方法を提案するものである。本研究で提案する評価法は、企業が製品のシリーズ化を行う上で戦略的売価設定法として活用されよう。

市場における競争優位性を確保するためなどで製品差別化を行うにあたって、重要な役割を果たすのが付加機能である。本研究では、付加機能に対する顧客の曖昧で、しかも、顧客間でバラツキのある評価額を統合して顧客評価額の代表的価格を算出すると共に、この代表的価格の増減に伴う需要量の変化を予測する方法を提案し、この手法を活用してその付加機能の戦略的価格設定や開発設計段階における製造原価目標の設定などが合理的に行えるようにするものである。

さらに、本研究で提案した方法を家庭用電話機の付加機能の価格設定に適用することによって、この方法の有効性を明らかにする。