論文キーワード: 設計段階のVE 2件

顧客要求の複雑・多様化や製品のライフサイクルの短縮化が進んでいる今、機会損失を防ぎ、効率的に価値ある製品やサービスを市場に提供することが求 められる。そのため、製品開発プロセスの中心活動である開発・設計業務においては、従来にはない機能や構造を有した製品やサービスをより安価でより短納期 で創造していくことが必要になる。その実現を可能にするのが機能的アプローチであり、VEである。

一方、設計案に対して確実な機能の達成を 実現するためには、設計過程において設計案が有する潜在的な不具合因子を漏れなく抽出・克服し、技術性評価においてもその達成を漏れなく評価しなければな らない。そのためには活動メンバーの固有技術のみならず、組織内に蓄積されている過去の経験・知識を有効活用する必要がある。

本論文では、組織内に蓄積されている過去の不具合情報を、未然防止に役立てられるように設計知識として機能ベースで構造化して整理するモデルを提案するとともに、設計段階のVEにおける活用とその有効性を証明することを試みた。

建設のVEは、過去に様々な展開の仕方が発表されている。それらは建設の特殊性を踏まえつつ、建設物のライフ・サイクルにおける一局面を取り上げて研究したものがほとんどであった。しかし、社会環境の変化と21世紀に向けて、建設のVEをどのように受け止め、適用していくべきか、再度考えておかなければならない。

本論文では、建設物のライフ・サイクルにおいてVEをどのように考え、適用すべきか、その実施形態と特徴を述べる。要点は、設計段階、施工段階などいずれの段階でもVE適用方法は同じ形態、手法で可能であり、違いは、構成要素の捉え方、分割の仕方である。そして、建設のVEを社会や大衆に解りやすいものにしていくことが大事であると考える。

なお、VEを活用するには、VEの基本をしっかりと習熟することが肝心である。その上で業種・業態に合ったVEの展開を考えるべきであることを強調しておきたい。