工程改善へのVE手法の適用

論文

工程改善への管理技術的アプローチとしては,QCやIEがふるくから適用され,大きな成果をあげていることは衆知のことである。しかしながら,工程改善へのVE手法によるアプローチに関しては,以前より叫ばれていながら,今日,まだこれといった成果事例が少ない。

この背景としては,VE手法そのものの誕生が,製品の改善を主体としていることと,また,その後の発展の歴史をみても無理からぬことと考えられる。

ところが,工程というものを,インプットされたものが何らかのプロセッサー(処理機能=工程)によって,新しい価値が付加されてアウトプットされると考えるとき,工程は価値分析の対象となり得る。

すなわち,(1)工程によって一定の機能を付加するために,工程の処理(作業,加工等)に要するコストを小さくすることによって,工程の価値を向上して工程改善をはかる方向と,(2)一定の処理(作業,加工等)コストでもって,付加する機能を大きくすることによって工程の価値を向上して,工程改善をはかる方向とが考えられる。

したがって,工程改善に適合したVE手法を用いれば,従来のQCやIEと異なった観点,というよりはもっと総合的な観点から工程改善が可能となり,大きな成果をあげることが可能であると信じる。

そのためには,工程改善にVEアプローチが可能となるように,工程の価値の定義を明確にし,機能分析の方法論を確立する必要がある。

以上の考えから,ここに工程改善のためのVEアプローチのための一つの方法論と,これを組立工程に具体的に適用し,成果をあげた事例を提示して,諸賢の御批評を仰ぐ次第である。

目次

  • 1. 工程改善へのVEアプローチ
  • 2. 工程における価値の定義
  • 3. 工程改善のための機能分析
  • 3-1 機能定義
  • 3-2 機能整理
  • 3-3 機能評価
  • 4. 適用事例 -チューナ組立工程の価値改善事例-
  • 4-1 改善対象工程の選定
  • 4-2 機能分析
  • 4-3 改善案の具体化とその評価
  • 4-4 効果の確認
  • 5. おわりに

発行年

1972年 VE研究論文集 Vol.3

著者

松下電器産業株式会社
チューナ事業部 清洲工場 技術課
二見良治

カテゴリー

  • VEテクニック

キーワード

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