論文キーワード: 機能評価値 3件

競合他社品が多い成熟製品の改良開発VEにおいて、機能別コスト目標となる機能評価値の決定は、製品の企画に直結する重要な事項であり、戦略的な意思決定が必要とされる。しかし、製品の置かれた外部環境と内部要因を多面的に分析して適切な機能評価値を決定することは、製品改善VEで使用されているところの、顧客・競合他社・自社の3つの観点を単独で評価する従来の機能の評価法では困難であった。
そこで本論文では、顧客が要求する機能、競合他社品が持つ機能、自社開発品に想定する機能の3つについて、従来の評価法にAHP法、機能にもとづくテアダウン、TRIZワンパラメータメソッドを組み合せて評価し、SWOT分析の視点によってそれらを総合して機能評価値を決定する方法を提案するとともに、事例による有効性の検証結果を報告する。

取り上げたVE対象の機能評価を行う際に、実用的には機能別にコスト分析したあと、このコストを基準にして、機能評価値をきめ価値指数を求めて判定する。

その過程で、多くの場合は全体の低減目標などのバランスだけで、解決のつくものもあるが、扱うシステムが大きくなり、また新しい機能を追加したり、ソフトを対象にするようになると判定が複雑となる。

本論文は、機能のコスト評価の段階で、目的にあった評価の価値指数を求める方法を提言する。

VEの「機能評価」では「機能」が果たす値打ちを、コスト換算(仮に「C」)して、おなじ機能をもつ代替のものや、こと、あるいは理論値で評価(「F」)し、判断材料にする。現状を、改善、改良、組織なら改革する目的で、活動しているにもかかわらず、価値を検討する段階では、例えば、手続きやサービスが対象なら、評価値を強制的に低い数値で割つけ、力を入れたい分野は配分を増やす。また、製品や、製造など、ハードのVE対象でも、付加価値を上げたり、ある分野の機能をアップしたいときには、その機能分野のコスト配分を増やす。その結果、F/Cが1より大きくなったり、(C-F)がマイナスとなって、現状の方が改善後より価値があるという、当初の思いと離れたことを容認してきた。本論文は、果たすべき成果を先取りして、算定式に用いれば、このテーマに解決がつくことを指摘し、その具体的な方法について提案する。