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VE技法を効果的に活用し大きな成果を得るために、VEチームリーダーはVE技法の知識と実践能力を磨くに留まらず、VEを分かりやすく伝え、受け手の感情に配慮して生産的なコミュニケーションを行うことを通して、VEチームを目標達成に導く原動力にならなければならない。

一方で昨今、「活動や議論を促進する人」という意味で、ファシリテーターという役割を担う人材が、会議やプロジェクト活動の運営、組織・風土の活性化において活躍する場が増えている。ファシリテーターの役割と、上述したVEチームリーダーに求められる役割やスキルとは類似した点が多いと考えたため、本論文では「VEファシリテーション」という新しい呼称を用いて提案する。

VEファシリテーションの技術を通して、VEチームリーダーがチームメンバーに与える効果という側面から考えたとき、VE実施手順の3つの基本ステップは、納得性を高める段階と創造性を発揮する段階に分けられ、それぞれにおいて特徴的なVEファシリテーションの技術があると考えた。そこで本論文では、VEチームに初めて参加するメンバーが、やがて自立してVE活動ができる能力を身に付けていく過程を通して、その場面場面に応じた具体的なVEファシリテーションを、「納得」と「創造」を引き出す技術として整理した。また、VEファシリテーションにおいて、VEチームリーダーのチームメンバーに対する姿勢やコミュニケーション技術が重要であることから、対話例も多く挿入した。

企業経営の基盤の強化や経営資源の有効化を図るためには、これらを構成する組織や従業員等が保有する技術を総合的に発揮しなければならない。特に人の集合である組織に対して重要な要素である。

VEワークショップセミナー、VEジョブプランを適用する過程において個の集合体である組織に対してどのように作用して、どのように影響していくかを研究することによってVE技法の導入、普及を迅速化できると同時に、職場の組織に活力を与えることができると考え、VEを実践すると同時にこのメカニズムを研究したので、ここに発表する。