本を読む(3)  (ゆ)  No.237

こんにちは。公益社団法人日本バリュー・エンジニアリング協会事務局の(ゆ)です。

来年に受験を控えている方々にとっては、この冬は追い込みのシーズンですね。今までとは違った形態になってしまうかもしれませんが、どういう形でも対応できるように心身のコンディションを整えておくに越したことはないと思います。

私の担当するVE誌では、今はなくなってしまいましたが「本棚」というコーナーがあり、編集委員の方々に本を紹介していただいていました。最近、下の写真の『「本番に弱い」を克服するメンタルトレーニング』(産業能率大学出版部刊)という本を読みましたので、かつての「本棚」のようにここでご紹介させていただきたいと思います。

Mental Training for Overcoming “Performance Anxiety”

著者は大学受験予備校講師の岡島卓也さんという方なのですが、講演会の質疑応答やアンケートでよく寄せられる質問に『子どもの合格のために何かしてあげたいのですが、何をすればよろしいでしょうか?』というものがあるそうです。そして、予備校でのアンケートによれば、受験生活で子どもが最も支えとするものは「家族」だそうです。この本には、合格するための勉強方法ではなく、合格した生徒と、その保護者の行動パターンから導き出した「合格する親子の共通点」と、「合格できる親子」になるためのメソッドが紹介されています。

まず、合格する受験生の共通点は何だと思われますか?
それは、1.行動が早い、2.素直である、3.前向きであることだそうです。そして、合格する受験生の親の共通点が、1.子どもを信じている、2.自分たちにできることをしている、3.前向きであることだとか。

ここで双方に共通しているのが「前向きであること」で、本書には「前向き思考にシフトする3ステップ」というのも紹介されていますが、ご興味のある方は是非、入手されてみてください。「前向きであること」は受験だけでなく、仕事でも何でも共通することだと思いますし、著者も一番重要なポイントだと述べられています。特に、何かと不安の多い昨今、前向きな気持ちで、メンタルトレーニングをして心の免疫力をあげておくことも大切だと思います。

以前のブログNo.32「スポーツを楽しむ(https://www.sjve.org/8408)」で私が本番に弱いことを書きましたが、体を使う競技等の場面で緊張してしまって力を発揮できないことが多かったものの、事前準備ができる学科試験では緊張はするものの大きな失敗は少なかったように思います(一度、一夜漬けの勉強内容が見事に消えて頭が真っ白になったことはあり惨憺たる結果でした)。

高校の受験時は、それなりの準備も勉強もしましたが、やはり家族の支えが一番大きく、祖母や母が受験当日には「受験に勝つ」というゲンをかついだ「豚カツ弁当」を朝早くから作って見送ってくれました。父は受験料を払ってくれましたし、叔父は受験勉強のための暖房器具を買ってくれましたし、従兄弟は勉強をみてくれた上に『受験当日の朝は、気分が悪くなるといけないから歯磨き粉をつけすぎないようにね』と勉強以外のことでも細やかなアドバイスをしてくれました。

こうやって受験を支えてくれた家族達は、皆、他界してしまいましたが、姿は見えなくても、声は聞こえなくても、こういう思い出は忘れませんし、折に触れ今もどこかで応援してくれているような気がします。
晴れて合格した高校の先生に『一生のうちに読める本には限りがあるので、何の本を読むかという選択も大切』と言われたことがありますが、できるだけ「前向きになれる」本を読んで、勉強や仕事の参考にしていきたいものですね。

来年に受験を控えているお子さんやそのご家族の方々はいつも以上の不安を抱えていることと思いますが、今回、ご紹介したような本を読まれて、「不安を解消する」や「メンタルを強くする」ことの参考にしていただければと思います。ただ、志望校に合格できなくても、また進学をされなくても、「どこで学ぶか」より、「何を学ぶか」がより重要だと思いますので、これからの人生で一つでも多くのことが学べる本に出合えるといいですね。

では、よい週末をお過ごしくださいませ。 (ゆ)

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