価値をあげる(4)  (ゆ)  No.334

こんにちは。公益社団法人日本バリュー・エンジニアリング協会事務局の(ゆ)です。

12月9日の誕生花はポインセチアだそうですが、冬の季節を明るくしてくれるお花だと思います。

Poinsettia 2022.12 photo by y★u

11月20日から開催されているFIFAワールドカップカタール2022で、日本は惜しくもベスト8進出は叶いませんでしたが、世界の強豪チーム相手に健闘する選手達の姿からは本当に元気をもらえました。世界の人々も日本チームの価値が着実に上がっていることに驚きを禁じ得なかったようです。選手達は切磋琢磨してこられたからこそ、「夢を与える」とか「日本を明るくする」といった存在になられたのだと思います。

やはり、世界に挑戦した日本人にファッションデザイナーの森英恵さんがいらっしゃいました。ちょうど1年前に、このブログ№284「表現をする(3)」(https://www.sjve.org/23258)でも、森さんをご紹介しましたが、残念ながら今年8月に96歳で他界されました。1951年に洋装店を開き、映画が日本の最大の娯楽だった時代に映画衣装のデザインも手がけられたそうですが、映画の脚本をしっかりと読み込んで役柄を服で的確に表現されていたとか。

森さんの衣装は、モダンでかっこいいだけではなく、着やすいという機能性も持っていたので、多くの女優さん達が私服も作ってもらっていたそうです。衣装で培われた表現力や技術、精神力は世界への挑戦に向けた土台となり、パリのオートクチュール(高級仕立服)につながっていったとか。これらの力を磨いて自分の価値を上げていることは、サッカーを始め多くのスポーツ選手達にも共通していることではないでしょうか?オートクチュールを展開することはステータスでもあり、ブランドの価値も上がり、オートクチュール以外の部門の売り上げも上がるため、生産し続けるブランドも多いそうですので、価値を上げるための一つの手段かもしれませんね。

森英恵さんの洋服作りには高級な服地が使われると思いますが、一方で、布は私達の普段の生活の様々な場面で使われています。麻や綿等の繊維産業が盛んで、蚊帳の一大産地でもあったのが奈良です。昭和初期から続く蚊帳生地の織屋が1956年に「垣谷繊維」として創業し、1960年頃に蚊帳の生地の端切れをいかして作り始めたのが『白雪ふきん』。高度成長期には蚊帳の需要も激減し、家業を守るための策として誕生したそうですが、汚れ落ちの素早さが評判を呼び、会社を代表する商品となり、2年前に社名も『白雪』に変更されたそうです。

白雪ふきんは、東大寺の大仏のお身拭いにも献上されるそうで、私もプレゼントしたり、されたりしたこともありますが、使い勝手を追求し、吸水性や柔らかさを向上させるため、麻100%だった生地には、綿やレーヨンを用いたりして改良を重ねてこられたとか。今では、折々の風物を描いたり、寺社やデザイナーと共同製作したりする等、色柄ものも豊富だそうです。「ものを無駄にしない精神と時代への柔軟な対応力」が「ふきん」としての価値を上げてきたことになると思いますので、これも一つのVEだと思います。

さて、服やふきんを縫うためには「針」が必須ですが、昨日の12月8日は「針供養」の日で、使えなくなった古い針や折れた針を、豆腐やこんにゃく、お餅等に刺して供養します。9世紀頃に中国から伝わったという説があるそうですが、平安時代には、法輪寺に針供養の堂が建立され、「針を供養する」ことが重要視されていたとか。東北・関東地方等では2月8日に、関西・九州地方等では12月8日に行われることが多く、地域によって違いがあるそうです。ちなみに、白雪ふきんの渦巻き状の縫い目は一筆書きのように一気に縫えるように作業の効率化を図るために考案されたそうですので、これもVE的な視点だと思いました。

さて、当会では、随時、会員を募集しておりますので、是非、ご入会いただき、自社製品の価値を上げたり作業の効率化を図ったりするために、VEを活用されてみてはいかがでしょうか?(https://www.sjve.org/25636

では、よい週末をお過ごしくださいませ。 (ゆ)

 

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