健闘を称える(2)  (ゆ)  No.270

こんにちは。公益社団法人日本バリュー・エンジニアリング協会事務局の(ゆ)です。

8月26日はアメリカで「男女平等の日」に定められているそうです。1920年のこの日、アメリカで女性の参政権が認められたことが由来してできた記念日とのことですが、日本では1946年4月に、戦後初めての衆議院議員総選挙が行われ、約1,380万人の女性が初めて投票し、39名の女性国会議員が誕生したそうです。

SDGs(持続可能な開発目標)の一つにも『ジェンダーの平等を実現しよう』という目標がありますが、国際オリンピック委員会(IOC)は、男女平等の理念を発信する目的で規約を変更し、東京五輪では男女それぞれ1人ずつの旗手を任命できるようにしたそうです。「ジェンダーの平等」は東京大会の基本的原則の一つであり、オリンピックに48.8%、パラリンピックに40.5%の女性アスリートが参加する、最もジェンダーバランスの良い大会となったそうです。

その影響もあると思いますが、東京オリンピックでは女性アスリート達の活躍が目覚ましかったように思いました。スケートボード女子に続き印象深かったのがボクシングフェザー級女子で優勝した入江聖奈選手です。憎んでもいない相手を殴るという格闘技はどこか痛々しくて、個人的にはあまり観たいとは思わない競技でしたが、まず決勝戦に臨む直前の彼女の心から楽しそうな笑顔に惹きつけられ、更に日本女子初の金メダルを手にされた姿に驚いてしまいました。

20歳の入江選手は、勝った喜びで飛び跳ねた直後に相手のフィリピンの選手と抱き合って、お互いに健闘を称え合っていましたが、双方ともに笑顔で直前まで殴り合っていたとは思えませんでした。『運動オンチで逆上がりもできないくらい。でも、努力を諦めなかったから何かをつかむことができると(運動が苦手な子にも)教えてあげられたのかな』と語った彼女は、今の所、3年後のパリ五輪は考えていないそうですが、どこか飄々として欲のない所もまた好感が持てました。

もう一つ、その強さに驚いたのがバスケットボール女子で、選手達の身長だけでいえば有利ではないのに、それをカバーする機敏さと技術に裏打ちされたスピード感あふれる試合展開で、見事、銀メダルを獲得し、表彰式で選手同士で順にメダルをかけあう姿は、それぞれがお互いに健闘を称え合っているようで心温まるものでした。更に表彰式直後の記念撮影で、優勝したアメリカの選手達と一緒になって満面の笑顔で嬉しそうに写真を撮り合っている姿も世界大会ならではのもので、お互いの赤や白のユニフォームが、祝賀ムードを一層盛り上げているかのようでした。

Tokyo Olympics Venue 2021.8 photo by y★u

上の写真は8月8日に閉会式を迎えた東京オリンピックの会場のテレビ画面を写したものですが、8月24日には、東京パラリンピックが開幕しました。8月25日付の読売新聞で、大会組織委員会理事であり、ご自身も過去5回の冬季パラリンピックのアルペンスキーに出場して、計10個のメダルを獲得されたという大日向邦子さんの記事を見かけました。3歳の時に交通事故で右足を切断し、左足にも障害が残ったという彼女は、ご両親に『どうすれば自分なりにできるか考えよう』と言われ、障害を工夫で乗り越えてこられたそうです。

『選手を障害のあるかわいそうな人と思うか、成し遂げるための工夫ができる人と思うかで、楽しめるかどうか変わる。アスリートとして見てくれれば、東京大会が心のバリアフリーのきっかけになる』という彼女の言葉がとても印象に残りました。

VEの5原則の一つに「顧客本位」がありますが、顧客を始め、男性、女性、子供、大人等々、様々な視点に立って考えることは口でいうほど簡単ではないものの、何か行き詰った時とかには視点を変えてみると、見えなかったものが見えてきて現状を打破していけるのではないかと思います。そして、そこにVEの特長でもある「創意工夫」を生かしていければ、多様性を受け入れる未来を拓く一歩になるのかもしれませんね。

当会では、9月10日に「新たな視点で現状打破 ~創造力と熱意が未来を拓く~」をテーマとした第64回VE西日本大会をオンライン形式(※2021年9月13日~17日までZoomにてオンデマンド配信)にて開催いたします。お申し込みの締切は9月6日になりますが、アスリート達に負けない熱意のある方々にお勧めいたします。(https://www.sjve.org/22298

では、よい週末をお過ごしくださいませ。 (ゆ)

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