音を聞く(3)  (ゆ)  No.277

こんにちは。公益社団法人日本バリュー・エンジニアリング協会事務局の(ゆ)です。

Cleome 2010.10 photo by y★u

上の写真は11年前の今頃に行った立川の国営昭和記念公園で撮った「クレオメ」ですが、本日10月15日の誕生花だそうです。風に舞う蝶のような形に見えることから 「西洋風蝶草」とも呼ばれるそうで、確かに秋の風に揺れる様が可憐な花でした。

また、同日の記念日の一つに「世界手洗いの日」があります。UNICEF・世界銀行等からなる「せっけんを使った手洗いのための官民パートナーシップ」が2008年から実施し、感染症予防のため、石鹸を使った正しい手洗いの方法を広めるための活動が世界各地で行われるそうです。日本では手洗いはもう日常の習慣となったことと思いますが、これからの流行が予想されるインフルエンザを始め色々な感染症予防のためにも、引き続き意識して手を洗うことが大切だと思います。

さて、前回のブログで、耳に聞こえてくる虫の声音で季節の到来を感じるということに触れましたが、鳴く虫の音色を楽しむという文化は世界的にはあまり知られておらず、アジア固有、特に中国や日本に限定的と言っていいくらいだそうです。アジア以外の国の人にとっては、ただの雑音に聞こえるらしいので、同じ音でも人種によって認識は異なるもののようです。

ただ、同じ日本人であっても、例えば、風鈴の音をいい音と思う人もいれば、耳障りな音として煩わしく思う人もいます。楽器の音色も綺麗だと思いますが、かつて、隣人のピアノの音が原因になったという痛ましい殺人事件もありました。自分が「いい音」と思っても、万人がそう思う訳ではないので、特に「音を出す」側の場合は、「音を聞く」人によって様々な感じ方があるということを、VEと同様に相手の立場に立って念頭においておくことが大切かもしれませんね。

外出自粛の影響で家でルームランナー等の運動をする人が増え、集合住宅では階下に音が響いてしまうといった騒音問題も起きているようです。ある程度の生活音はお互い様だと思うのですが、音があまりにも大きくて長期にわたってしまうと訴訟問題につながりかねません。

一例として、57年前の10月1日に出発式が行われた東海道新幹線があります。高速道路や東京モノレールと共に、五輪に間に合うように完成した新幹線は「夢の超特急」と言われ、営業列車としては世界最高の時速200キロで、東京-大阪4時間のスタートを切ったとか。日本人の高い技術力が世界にアピールされた一方で、沿線から騒音被害の声があがって公害訴訟となり、対策が取られたりして和解が成立したのは1986年だったそうです。虫や風鈴の音を愛でる日本人も、さすがに高速で走る電車の音は、毎日のことですし我慢できないものだったのだと思います。

そして、東海道新幹線の出発式からちょうど57年後の10月1日に東北、上越新幹線の2階建て新幹線車両「E4系」(愛称Max)が最後の定期運行を終了。2階建て新幹線は1985年に東海道・山陽新幹線で一部2階建て車両が導入されたのが最初で、1994年に東北、上越新幹線にオール2階建ての「E1系」が登場し、1997年に後継の「E4系」が導入されたそうです。16両編成時は定員1634人で、高速鉄道では世界最大を誇ったそうですが、やはり日本人の技術力は素晴らしいと思います。ただ、他の新型新幹線が時速300キロ前後と高速化する中、最高時速240キロの遅さがネックとなり、車両の更新が進められていたそうです。

引退理由には、老朽化の他に大量輸送時代が過ぎたということもあるそうですが、東京行き最終列車の発車ベルの音とともに『Max ありがとう』と大きな声がホームにこだましたそうです。鉄道ファンでなくても、最後の発車ベルというのはどこか寂し気に聞こえたと思いますが、同じ音を聞いたとしても、聞く人それぞれの想いによって響き方は違うものなのかもしれませんね。

さて、当会では「VE京滋セミナー 京からVE、今日からVE ~製品・サービスの価値向上で、経営を変える~」を11月19日に開催いたします。完全オンライン形式ですので、京都行きの新幹線に乗る必要もなく、お好きな場所で視聴できます。お申し込みの締切りは11月15日となりますので、この機会に参加されてみてはいかがでしょうか?(https://www.sjve.org/22839

では、よい週末をお過ごしくださいませ。 (ゆ)

 

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