伝統を受け継ぐ(7)  (ゆ)  No.294

こんにちは。公益社団法人日本バリュー・エンジニアリング協会事務局の(ゆ)です。

ちょうど2週間前の2月4日に開幕した北京冬季五輪ですが、雪や氷の上といった白い世界での競技は、凄いスピードで疾走する選手や縦横無尽に回転する選手達をより引き立てていますよね。中でも、真っ白な雪と真っ青な空との美しいコントラストの中で繰り広げられた平野歩夢選手(スノーボード男子ハーフパイプで金メダル)の素晴らしい演技には目を奪われてしまいました。更に世界初の4回転半ジャンプを成し遂げた羽生結弦選手(フィギュアスケート男子で4位)も、メダルには一歩届かなくても、日本はもちろん世界中から驚異的な注目を集めていましたね。

前回のブログで、『伝統というのは革新の連続。新しいものを自分が生み出していかないと歴史はつないでいけない』という西陣織の職人さんのお話を紹介しましたが、世界中のアスリート達も、1秒でも速く、1㎝でも高く遠くへと、常に記録を更新して革新をはかっていかないといけない世界に身を置いています。各国の代表選手達の実力は拮抗していて、0コンマ以下のわずかな点差で順位が決まってしまうため、心身共にタフであることが必須でしょうし、想像を絶する厳しさだと思います。

そして、たとえ世界の頂点に立っても奢らず、負けてもその悔しさをバネにして更に上を目指して挑戦していく真摯な姿が世界の人々の感動を呼んでいると思います。そういう選手達のスピリットもまた、目には見えなくても後に続く選手達に受け継がれていくのではないかしらとも思います。

日本の様々な伝統にも人々の想いが受け継がれてきたと思いますが、中でも伝統工芸には、製造法や技術を守りながら発展させていくために定義があるそうです。VEにも定義がありますが、以下の4つの定義を満たすものだけが「伝統工芸品」とされているとか。

1.日常生活で使われるものであること
人々の生活で多く使われている陶磁器やガラス製品、日本の伝統衣装である着物や足袋、日本の季節行事と深い関わりがある雛人形や羽子板等がある。

2.古くから継承される伝統的な技術や技法によって製造されるものであること
更に、「伝統的工芸品」として指定されるためには、技術や技法、原材料に100年以上の伝統があることが必要とされる。

3.製造工程の多くが手作業であること
ただし、工芸品本来の持ち味を損なわない範囲で、機械を補助的に用いることはよい。例えば、ガラス工芸で模様を彫ったり磨いたりする工程で使われる機械、陶磁器作りで用いられるろくろ等。

4.伝統的な技法や熟練の技によって作られたものであること
長い年月をかけ、多くの職人が研鑽を重ねたことによって、魅力的な工芸品が生み出されていて、手作業で作られる伝統工芸品は一つとして同じものはない。

これらの定義を満たす日本の伝統工芸品の主なものには、染物、日本刀、陶磁器、漆器、和紙等があるそうです。伝統工芸品の特長や主要な部分は継承し、持ち味を維持しながら、時代のニーズに合わせて作られた工芸品が「伝統的工芸品」で、日本の伝統工芸を守り、技術を受け継いでいくために、「伝統的工芸品産業の振興に関する法律」も制定されたそうです。上述の4つの定義の他に一定規模の製造者で製造を行い、一定地域で産業が成り立っていること、受け継がれる技術や技法、原材料に100年以上の伝統があることがその条件だとか。伝統的工芸品に指定されている主な工芸品には、南部鉄器、宮城伝統こけし、大館曲げわっぱ、京扇子、三線等があるそうですが、どれも長い歴史を経てきた風格がありますよね。

VEは1947年に誕生しましたので、100年の歴史までにはまだ少しありますが、普及の方法は「伝統的工芸品」と同様に時代のニーズに合わせて工夫されてきました。一つの例として、いつでもどこでもマイペースで学習していただける「VE通信講座」があります。当会では、更に多くの方々にご活用いただきたく、今年の1月11日より3月11日までのキャンペーンを実施しています。この期間中のお申し込みに限り特別受講料にてご提供していますので、この機会に是非、ご利用いただき、「VEの基礎」や「企画・開発メソッド」の技法を受け継いでいかれてみてはいかがでしょうか?(https://www.sjve.org/23374

では、よい週末をお過ごしくださいませ。 (ゆ)

過去のブログはこちら

関連するページ