空を見上げる(5)  (ゆ)  No.309

こんにちは。公益社団法人日本バリュー・エンジニアリング協会事務局の(ゆ)です。

先月のこのブログ№306で、「グランド・ジャーニー」という気象学者のクリスチャン・ムレク氏の人生を元にした映画のことをご紹介しました。小型の飛行機に乗って空を見上げながら渡り鳥と一緒に飛ぶことに憧れた人は多かったようで、現在、ムレク氏はそういう人達を対象とした観光飛行もされているようです。フランスのモンサンミッシェルの上空をモレク氏と一緒に飛びながら嬉しそうに鳥に手を伸ばしている観光客の姿がテレビで紹介されていましたが、世界中から観光客が押し寄せているそうです。

空を飛びたいという願いを持ったライト兄弟が有人飛行を成功させたのが1903年、アームストロング船長を乗せたアポロ11号が月面着陸に成功したのが1969年、そして2001年には初の民間人の宇宙飛行、更に、2020年には独立行政法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)の小惑星探査機「はやぶさ2」が小惑星「リュウグウ」から計5.4グラムの砂や石を持ち帰りました。そして、先日、その中から生命の材料となる種類のアミノ酸が検出されたことが発表されました。

120年程前には空を見上げることしかできなかった人類が空を飛び、ついには惑星から砂や石を持って帰ってくるなんて快挙としかいいようがありませんし、技術の力って素晴らしいと思います。2010年10月に開催された当会の全国大会で、当時のJAXAの「はやぶさ2」準備チーム長の吉川 真氏に「はやぶさ、地球へ!」と題した講演をしていただきました。「はやぶさ」は2003年5月に打ち上げられ、2010年6月に戻ってくるまでの7年1か月の間、宇宙を飛んで、小惑星「イトカワ」から物質を採って戻ってきたそうですが、地球と月以外の太陽系天体から探査機が離陸したのは世界で初めてだそうです。

吉川氏には「はやぶさ」が教えてくれた三つのことをお話ししていただきましたが、その一つが『世界初に挑戦することがいかに素晴らしいか』。次に、『その世界初挑戦に伴う多くの困難に打ち勝つためにはチームワークがいかに重要か』。もう一つが、『世界初への挑戦はやはり難しく、想定外の出来事をいかに事前に予測するかが重要』だそうです。

また、『今は情報がたくさんあり過ぎて、新しい冒険がやりにくい時代だが、真の冒険ができる状況を是非とも若い世代に残したい、「はやぶさ」はそういうことも非常に重要だと教えてくれた』とか。更に、「はやぶさ」は主力エンジンが故障したり、7週間も音信普通になったりと、想定外の様々な困難に直面したそうですが、それらをどうやって克服されたかについては、「バリュー・エンジニアリング」誌第265号に掲載されています。お手元にない方は、バックナンバーも購入できますので入手されてみてはいかがでしょうか?(https://www.sjve.org/2686

このご講演では「はやぶさ2」のことも話されていますが、「太陽系が生まれる前のなるべく変質していない物質を採ってくる」ことを2006年に提案したそうです。このご講演の後、2011年度からプロジェクトとしてスタートした「はやぶさ2」は2014年12月に打ち上げられて2020年12月に帰還。見事、世界初のミッションにチームで挑戦されて、それを成し遂げられた訳ですが、大規模な上に長期間にわたりますので、「はやぶさ2」でも「はやぶさ」と同様に様々な困難があったことと思います。

2010年に「はやぶさ」が地球に帰還した時、使命を果たしたかのように燃え尽きて落ちていく様が流れ星のようで感動を呼びましたね。プロジェクトに関わった方は様々な想いで空を見上げてこられたと思いますが、どんな困難でも立ち向かってそれを越えられた時の喜びが大きいからこそ挑戦の原動力になっているのかもしれませんね。何か実現したいことがあれば、夜空を見上げて星に願いをかけて、そして実際に挑戦されてみてはいかがでしょうか?

さて、上述しましたように、吉川氏は「困難に打ち勝つためにはチームワークが重要」と言われています。このチームワークに必要とされるものの一つに「ファシリテーション」能力もあるのではないかと思います。当会では、7月7日に「ファシリテーション入門」講座をオンライン形式で開催いたします。本講座では、話し合いでのファシリテーションスキルとして、4つの場面(場づくり・対人関係・話の整理・合意形成)で成果につなげる支援の仕方を学びます。お申し込みの締め切りは6月30日となりますが、この機会に参加されて、スキルを身につけ困難に打ち勝ってみてはいかがでしょうか?(https://www.sjve.org/24625

では、よい週末をお過ごしくださいませ。 (ゆ)

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