機能評価とコスト配分

論文

必要機能を,最低コストでえようとするVE活動の中に,ある種の沈滞ムードが漂い始めている。VEの導入当初の活動はめざましく,その成果も大きかった。その結果,VE思想が広く普及したことは,産業界にとって,誠に喜こばしいことである。しかし,より高度なものへの発展の突破口が手近かにないため,堂々廻り的活動を余儀なくされているのが,実状であろう。また,VEは理論ではなく,活動であるといわれる通り,その活動範囲は膨大であり,情報収集などは,それだけで企業が成り立つ時代でもある。これに,一つのVEグループが対処するとなると,その活動に,自から限度を生ずる。特に,委員会制度をとっている場合は,極めて断片的活動に終始せざるを得なくなるであろう。したがって,VE対象の選定段階において,部品的要素を取り上げがちになる。

部品の機能と徹底的に分析し,その部品としてのVE結果が,機械の一部として組込まれ,予期しない結果になることもある。これは,組立てた時,初めて生ずる二次機械や条件に,見落しがあったからであり,情報収集の不足,機能分析の不徹底,テスト証明の不備不足などが指摘される。VEの理論上は,このようなことはありえないという反省にもとずき,次の活動を始める。

機械としての基本機能に附随する多くの2次機能や,条件,要素などの複雑な結びつきと合理的に分析するには,どうしたら良いかを研究することが必要であろう。

この論文は,基本機能を抽出するのではなく,できるだけ多くの2次機能や要素と付随させ,それらに,どのようにコスト配分をすれば,商品として良い製品になるかを研究したものである。

目次

  • 前がき
  • 機能分析の問題点
  • 客先要望事項の調査
  • 客先の要望事項と機能との関連
  • 客先要望事項の重要度の分析
  • 機能的重要度の分析
  • 総合重要度分析
  • 機能評価とコスト配分
  • まとめ

発行年

1970年 VE研究論文集 Vol.1

著者

石川島播磨重工業(株)
汎用機事業部技術部設計一課
五味静生

カテゴリー

  • VEテクニック

キーワード

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