PSM手法による設計システムの展開

論文

オーディオの市場は,使用用途の拡大,新機能の開発等により,顧客のニーズにうまく対応しながら,その売上げを伸ばしてきた。

一方,商品の普及率の向上と成熟化により,業界の競争は,ますます熾烈をきわめ,一段と厳しい展開となりつつある。

厳しさを増す市場ニーズは,同時にユーザーの価値観の多様化と商品のライフサイクルの短命化を促進し,それに即応した商品の開発が望まれる。

ステレオ商品のカテゴリ一変遷を(図-1)に示す。商品の多様化とライフサイクルの短命化を物語っている。

オーディオの普及率は,すでに60%を越え,経済情勢も世界的な不況のなか,消費者の動向は変化し,

(1)今すぐどうしても必要なものだけ

(2)本当に魅力のある価値の高いものだけ

(3)他人と差別化できる個性的なものだけ

(4)衝動買いから計画的購入

へと変貌し,V=F/Cにおける"C"あるいは"F"へかたよるのではなく,"C"と"F"のバランスの良さが要求される等,市場ニーズは,ますます厳しいものとなってきた。

単なる製品のコストダウンやモデルチェンジでは,すでに対応しきれず,これまでのセールスポイントである単なる「業界初の機能搭載」といっただけの開発対応では,商品価値が高いとはいえなくなってきた。

こうした背景の中で,他社に一歩先んじる商品開発を実行するため,特に,ニーズとシーズの融合化をはかり,しかも,技術蓄積を生かした優れた商品の設計活動がなされるような設計の進め方に関しての仕組み作りを行いつつある。

この仕組みを,PSM設計(Paralell Design System by Seeds Stock Method)と仮称している。

本稿では,このPSM設計法の考え方と進め方を紹介する。

目次

  • 1. はじめに
  • 2. PSM設計の背景
  • 3. PSM設計の進め方の概要
  • 4. 情報の収集
  • 5. 情報の整理とシーズ設計機能系統図
  • 6. ステレオにおける具体的展開
  • 7. おわりに

発行年

1983年 VE研究論文集 Vol.14

著者

日本ビクター株式会社
ステレオ事業部 技術部
中田征
日本ビクター株式会社
ステレオ事業部 技術部
鳥居俊樹

カテゴリー

  • 開発設計とVE

キーワード

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