論文キーワード: ライフサイクルコスト 5件

顧客ニーズの多様化や製品ライフサイクルの短期間化に対応するため、製造業各社の開発製品数は急増し、製品開発プロジェクト価値をいかに向上させるかが重要な課題となっている。そこで、多数の開発プロジェクトにおいて、プロジェクト価値向上のためにバリューマネジメントをいかに行っていくか、またいかに組織展開していくかについて提言する。VE技法とプロジェクトマネジメント技法とを融合させた新たなバリューマネジメント技法について述べる。

バブル崩壊以後、税収の落込み、バブル期に建設した施設の経営困難、建築工事費の内外価格差等を背景に、公共建築の調達に様々な改革が実施されている。本論文は、近年、建築設計段階に導入されているVEについて、導入の経緯、現状を概観し、今後、建築設計VEを普及させるための課題を整理した。分析対象としたのは、建設省官庁営繕部、郵政省大臣官房施設部、東京都等地方公共団体が発行しているマニュアル、ガイドライン、実施報告と、(社)日本バリュー・エンジニアリング協会による「建築設計VEマニュアル」、およびその検討、作成段階の議論である。VEは主に製造業を対象に開発され、また国内の建築分野への導入は施工段階が中心であったため、設計段階でそれを有効なものとするためには、VEを適用すべきプロジェクトの選定問題、VEの実施時期の問題、VEチームの編成の問題、VEの手法の問題等が存在することを指摘した。

現在、建設省総合技術開発プロジェクトで開発中の新建築構造体系が確立すれば、構造設計者はコストエンジニアリングの一環として、自由なアイディアで技術提案をして構造設計が可能になる。その際の技術提案の最有力候補の一つに免震構造の採用が考えられる。

しかし、これまでの免震構造はコストは多少アップするが、機能(耐震性能)を大幅に向上させることで、価値を高めてはいるが、高い耐震性能が要求される一部の用途を除き、コストアップを許容しにくい一般建物への普及にまでは至らなかったのが実状である。

そこで、本論文ではコストアップの問題点を定量的に整理した上で、従来型の耐震構造の代替案として免震構造を採用した場合の設計VEの可能性と有効性について検討を行い、その有効性を確認した。

さらに、新しいコスト評価手法として、地震に対するリスク管理を含めたライフサイクルコストの低減についても免震構造の有効性を示した。

建設生産の発注から施工、引渡しまでのプロセスは日本独特のもので、外国のシステムとはかけ離れたものである。海外建設業の市場参入、閉鎖社会でおきた談合問題の批判に伴う入札方法の改革など、建設業界全体が激烈なコスト競争の嵐に巻き込まれている。

どのような状況下でも、顧客の満足する価値すなわち作品を提供することは建設業者の責務である。これからは、企業内VEに取り組むだけでなく、顧客と一体になったVEを指向することで、国際競争力に耐えうる建設業へと変わって行かなければならない。建設流通システムの簡素化、建段施工の省力化(無人化)、海外の安くて良質な資材の輸入、ならびに建設生産プロセスの改善などの提案を通して、日本の建設業のかかえる問題点の解消の一助としたい。

本論文は、従来のVE概念を発展させ、V=F/Cの概念式にあってFの今日的思考Cの真のライフサイクルコストの捕え方をベースに、新時代に対処できるような新しいVE概念について考え、それに基づいたモデル式を提唱し、ワンサンプルによるモデル式の検証を行ったものである。

一言で述べると価値概念の総合化を狙ったものであるが、Fの従前の使用価値概念から、商品やサービスを提供する企業や、それらのライフサイクルの間に発生する多くの価値、廃棄に至るまでの社会に与える価値に発展させたものである。

具体的には省資源的要素に時間関数を考慮する事により商品ライフサイクル間(発売~廃却)での価値変化を面積で評価するものである。

更に、資源の再利用の時代を控え、廃却時にリサイクル率を評価する事により総合価値評価に近づけると同時に、廃棄していた資源の再利用による新たな価値の発生、価値変化に連続性を持たせ再利用段階に於ける価値評価への期待を残している。

このモデル式を適用する事により生産側での総合的な商品評価が可能になり、前段の社会ニーズに適合した商品を開発する際のツールの一助となり、更に言えばVEのより広範囲な適用へ繋がる可能性を秘めた概念であると考える。