論文キーワード: リスク管理 2件

近年、製品機能の高度化、複雑化により、新規開発や設計変更により生じる品質面での リスクは益々増加している。このリスクを避けるため、創造による変更を行うVEに対し て、消極的になることが製造業の開発現場でも見受けられる。このような傾向は、企業だ けでなく社会全体の成長を停滞させる大きな問題になる。 そこで、本論文では、製品の新規開発や設計変更によるリスクを管理し、品質を確保す るため、VE実施手順にリスクマネジメント手法注1)を活用することを提唱する。この中で、 反転リスク分析系統図を作成する手法を確立する。 この手法により、VE実践の中で、機能本位の視点から、製品全体のリスクを特定・分 析し、具体的な対応を検討することで、新規開発や設計変更によるリスクを漏れなく管理 することができ、品質をより効果的に確保することができることを示した。

現在、建設省総合技術開発プロジェクトで開発中の新建築構造体系が確立すれば、構造設計者はコストエンジニアリングの一環として、自由なアイディアで技術提案をして構造設計が可能になる。その際の技術提案の最有力候補の一つに免震構造の採用が考えられる。

しかし、これまでの免震構造はコストは多少アップするが、機能(耐震性能)を大幅に向上させることで、価値を高めてはいるが、高い耐震性能が要求される一部の用途を除き、コストアップを許容しにくい一般建物への普及にまでは至らなかったのが実状である。

そこで、本論文ではコストアップの問題点を定量的に整理した上で、従来型の耐震構造の代替案として免震構造を採用した場合の設計VEの可能性と有効性について検討を行い、その有効性を確認した。

さらに、新しいコスト評価手法として、地震に対するリスク管理を含めたライフサイクルコストの低減についても免震構造の有効性を示した。