本研究の目的は成熟期の製品で実用機能が重視される製品を対象にし、各メーカーの製品の特性とマーケットシェアとの関係を分析的に明らかにし、顧客により好まれる製品を開発設計するための有益な情報を提供することである。この事例として小型トラック(最大積載量1t以上4t未満)を取り上げ、マーケットシェアの高い製品の特性と低い製品の特性を分析的に明らかにし、マーケットシェアの差の要因を究明し、それを新製品の開発に活用させようとするものである。そのため、小型トラックの製品カタログから得られる仕様等や顧客に対する実態調査による機能特性等の評価の情報に基づく分析を行った。
今日のヒット製品は突然生まれてきては消えていくという浮動的、流動的な特徴をもち、個性的な顧客の潜在的なニーズやウォンツをタイミングよくとらえたものが多い。このようなとらえづらい顧客のニーズやウォンツに俊敏(agile)に対応していくには、新しいものを好む先導的顧客の動向を常時把握していなければならない。彼らは当該製品群に対するオピニオンリーダー、すなわち一般ユーザーに大きな影響を及ぼす先導的顧客だからである。本研究は製品ライフサイクルが短く、次々と新製品が投入されるような導入期や成長期の新製品を対象にし(事例として情報携帯端末をとりあげた)、ヒット製品づくりをするコンセプトメーキング法の1つとして、先導的顧客が当該製品に対し要求する機能を明確にし、その評点に基づいて、次期製品の新製品仕様をユーザーの視点から評価する方法を展開したものである。