論文キーワード: アイデア発想 7件

VE適用が製品やサービスの価値向上に成果をもたらすことは、VE全国大会等で紹介される様々な事例が示すとおりまぎれもない事実である。より大きなVE成果を得るためには代替案のもととなる優れたアイデアが不可欠であり、アイデア発想力を強化することはVE成果の拡大に直結する。
本論文では、VE適用によって得られる成果をこれまで以上に拡大するために、アイデアを闇雲に数多く発想するのではなく、価値向上に寄与する可能性のあるアイデアをはじめから多く出す方法を提案し、その効果を実際の活動で確認した。製造企業において、VE実践、VE研修、特許ミーティングというそれぞれ異なる目的のために開催される活動を融合することで、VE成果の拡大につながるアイデアの創出を促進できた。

第49回VE全国大会(平成28年開催)において、「対極類比アプローチによる創造 手法の提案と検証」と題したVE研究論文を発表した。この中で、企画段階のVEプロセ スで顧客の潜在的要求に応えるアイデアの創造手法を提案し、その有効性を検証した。今 回、その創造手法にTRIZの発明原理を取り入れて、より普遍性の高い技術的な観点を 付与しさらに有効性を高めた。 本論文では、TRIZを活用した対極類比アプローチによる創造手法を企画段階のVE に適用することで、技術的方向性に沿った信頼性の高い革新的アイデアを創造できること を検証する。リサイクル工場の冷媒用フロンの回収技術の開発に本創造手法を適用し、国 内最高レベルのフロン回収率を実現することができた。

企業の経営環境の変化や顧客の要求に対応するために、経営層から設定されるVE活動目標の難度は高くなりつつある。VEプロジェクトチームは、難度が高く設定されたVE活動目標を達成するために、価値の高い代替案を構築する必要がある。そのためには「アイデア発想」で数多くのアイデアを発想し、アイデアを発展させることで、VE活動目標の達成に寄与するアイデアの量を増やす必要がある。

しかし、「アイデアの発想」でアイデアを多く発想した結果、アイデアの組み合わせが逆に困難となりアイデアの発展が不十分となる問題やトレードオフ関係にある機能が存在する場合に全体最適となるようにアイデアの発展が十分にできない問題により、「詳細評価」でVE活動目標が達成できずにVE活動の手戻りが発生するなどの問題が発生している。

そこで、本論文では、アイデアの発展を行いやすくする技法として「アイデア体系図を用いたアイデアの発展技法」を提案する。

建築工事におけるVE検討は、設計・入札・見積・調達・施工の各段階で企業にとっての受注拡大や利益確保のために実施されている。しかしながら、時間的な制約や情報が未整備のために、大胆なアイデア発想の転換ができず、総花的なCR案の提示か仕様の変更提案に終始してしまい、顧客や設計事務所から不信感を持たれる場合が散見されている。VEが目指す抜本的な代替案の提案を生み出すためには、発想の転換が図れるアイデア発想ツールの開発が必要となってくる。

ここでは、既存ツールの問題点を克服し長所を統合した新アイデア発想ツールの作成法と新ツールの活用定着のためのシステム作りについて提案する。新ツールを試行したところ、利益率の向上が図れたことと更なるアイデア発想の切り口が報告されたことで、高い効果が期待できるアイデア発想ツールおよびシステムであると確信している。

機能系統図を作成する「機能の整理」のステップはVEの最も特徴的な部分であり、その効用は設計思想を共有化する、創造力を刺激する、コミュニケーションを改善するなど、多くの利点がある。機能の表現方法や検討対象範囲などにより、系統図もいくつかのタイプに分類されることが知られているが、いずれの場合においても、最上位機能から展開される上位レベルの機能のとらえ方が、機能分野や重点機能系列を決める上で極めて重要となる。

一方で、VE活動の目的を「価値を向上させるための質の高いアイデアを効率的に出すため」と定義するならば、多くの時間と労力を割いて作成する機能系統図は、アイデア発想において付加価値の高いものでなくてはならない。換言すれば、「機能系統図」と「アイデアの出しやすさ」との相関において、チームメンバーの誰もが機能系統図の付加価値を高いと感じるものでなくてはならない。

本研究では、アイデア発想のステップにおいても機能系統図の作成手順と同様のアプローチで発想していく方法について、『アイデアの構造化』、『"願望機能"を起点とするアイデア発想』という新しい概念と、『フレームワーク』という汎用的なビジネスツールの概念を適用した新しい方法について提案する。機能系統図の付加価値を高めることで、機能系統図の作成検討時におけるメンバーのアイデア創出の動機を高めることができ、モレのない視点で効率的に質の高いアイデアを発想していくことが可能になると考えている。また、成熟した製品・業界において、既成概念を打破し抜本的に製品構造を見直すことは困難を極めるような状況の中でも、より現実的なアイデアを効率的に出していくことが可能になる。

近年、当社の作業所における「VE計画会議」は、VE計画のためだけでなく、VE実施のための会議としても位置付けられるようになってきた。即ち、会議の内容が、VEテーマの摘出にとどまらず、多くのアイデア発想やアイデアの具体化を含むものに変化してきている。本論文は、当支店の「VE計画会議」において機能分析がどのように展開されているかを検証・分析し、それを踏まえて「新しいVE計画会議」を提案するものである。

VE活動において、ジョブステップを順に実施して、多数のアイデアを得る所までは、着実に到達できる。しかし、多数のアイデアの中から、良い改善案をつくるまでの各ステップはチームメンバーのスキルに非常に影響される活動であり、この各ステップが結果の成否を左右する。

本論文は、アイデア発想から具体化・洗練化のステップに至るまでの間のアイデアの組合せの仕方について、まず現在の方法の問題点を明らかにして、そこから解決するポイントを整理した。そして、問題点を克服する新しい技法を提案した。

これにより個々のアイデアを組合せてまとめる際の段差を着実に登り、製品に結び付ける事を助けることを意図した。