論文キーワード: 40の発明原理 2件

第49回VE全国大会(平成28年開催)において、「対極類比アプローチによる創造 手法の提案と検証」と題したVE研究論文を発表した。この中で、企画段階のVEプロセ スで顧客の潜在的要求に応えるアイデアの創造手法を提案し、その有効性を検証した。今 回、その創造手法にTRIZの発明原理を取り入れて、より普遍性の高い技術的な観点を 付与しさらに有効性を高めた。 本論文では、TRIZを活用した対極類比アプローチによる創造手法を企画段階のVE に適用することで、技術的方向性に沿った信頼性の高い革新的アイデアを創造できること を検証する。リサイクル工場の冷媒用フロンの回収技術の開発に本創造手法を適用し、国 内最高レベルのフロン回収率を実現することができた。

現在の日本経済は厳しい環境下にあり、価値向上を目的とするVEの必要性が高まってきている。VEは広範囲な事業分野に普及しつつあり、VEに取り 組む企業やVEL取得者も増えてきているが、VEが使いこなされ定着化してきているかというと、そこまでには至っていないのが現状である。VEが誰にでも 実践できない理由として、VE実施手順の代替案作成段階におけるアイデア発想、欠点克服のアイデア発想での行き詰まりが挙げられる。この打開策として、ア イデア発想をサポートする効果的な手法を望む声も高まっている。

一方、TRIZは、250万件を超える特許分析により、問題解決の方向性、 アイデア発想の視点・観点等を体系化したもので、VEへの活用については、これまでも取り上げられてきているがVE実施手順にどのように活用するかについ てはまだ確立されていない。そこで、一般的な製品改善のVE実施手順のどの段階にどのようにTRIZを活用するかについて具体的方法と手順を提案する。活 用段階は代替案作成段階における「アイデア発想」と、「具体化における欠点克服」であり、「技術的矛盾の解決アプローチ」と「物理的矛盾の解決アプロー チ」を活用する。

本論文をVEにおけるアイデア発想のツールとして活用することにより、VE活性化の一助となれば幸いである。