論文キーワード: VE提案制度 4件

政府、地方自治体では財政面での逼迫を受けて、公共事業のコスト縮減施策や価値向上対策の一環としてVEの取り組みが活発な動きをみせている。公共VEは事業予算の有効活用と納税者、利用者に満足感を与える画期的な手法であるが、成果を生み出すためには運営体制の確実な整備と個別プロジェクト単位での推進マネジメントが重要な鍵となる。本論文では、地方自治体でのVE導入と個別プロジェクトの本格的なVEワークショップでの活動実績を踏まえ、公共VEが成果をあげるための課題を明らかにし、その解決策を示す。

建設市場の発注量の低迷と、低コスト化の傾向は今なお進行しつつある。総合建設業においては今まで以上の低コストで施工する必要が生じ、総合建設業の各企業内におけるコスト低減努力だけではその限界をこえたといえる。

そのような状況下において、ここでは総合建設業における専門工事業者からのVE提案を協力業者からのVE提案と位置付け、以前にも増してVE提案が出てくるようにし、また、一般的製造業における発注者と協力業者との関係のような、固定した協力業者との関係を保ちながらさらなる低コスト化に対応するためにはどうすればよいのか、総合建設業と専門工事業者の双方にメリットがあると思われる方法のーつとして、協力業者のVE提案制度という新たなしくみを提案するものである。

建設産業政策委員会が1995年4月に策定した「建設産業政策大綱」の基本目標の一番目に「エンドユーザー(国民)にトータルコストで良いものを安く提供する」と示されている。これは、われわれ建設産業に携わるものに対する社会的な要求であり、果たすべき使命でもある。

この社会的使命を果たすためには、対象プロジェクトに携わるすべての人々が従来の枠組みを乗り越え、エンドユーザーの立場に立って能力の結集を図らねばならない。

本稿は、このための有効な手段としての「公共工事における協同VE」の必要性とその進め方について提言するものである。

VEの有効性が社会的に認知され、建設工事においては請負契約にVE条項を折り込む動きが見えはじめた。本論文では、民間の建設工事契約にVE条項を適用するにあたってのポイントを抽出し、変更提案の際のトラブル等を防止してVE条項を効果的に活用するための検討を加えた。

VE条項の民間工事への適用に際しては、受注者は発注者から信頼を得ることを基本に考えて、VEへの理解、契約条項への理解を得るとともに、発注者のニーズを正確に把握してVE提案することが必要である。