ソフトVEによるデザイン機能展開

論文

昨今の企業を取り巻く環境は,円高ドル安,国内外の景気不振と,ますますの厳しさを迎え,企業の総合的な体質改善を余儀なくされている。また市場競争の形態からみても,ほとんどの商品群が成長期から爛熟期へと移行し,コスト,品質,技術等の膠着化による,デザイン競争の感が,より顕著となり,デザイン部門に対する,価値ある商品デザインが切望されている。

また,こうした中で,当社VE活動の重点を,商品,部品に対するハードVEと,製造部門や間接部門を中心とした,仕事の作業の進め方のVE,いわゆるソフトVEとの,トータル的VE活動展開による,価値ある仕事の進め方を基本思想とした,新しい商品づくりを志向している。

しかしながら,感覚的な要素が重大な意味をもつデザイン活動と,価値,機能を重要視し現象をクールに分析把握しようとするVE活動とは,相反する要素を含んでいるために,水と油的印象を与える。しかも,機能(F)を一定にして部品コスト(C)を下げるという,ハードVEの影響を受け,デザイン(外観コスト)に対する価値評価が正確に把握されていないことと相互して,VEによるコストダウン会議では,常にデザイン面が"いけにえ"にされていた時期があり,デザイナーはVE活動を反目敬遠するようになり,VEを正しく理解する機会を逸していたが,新しい仕事への脱皮を迫られる今日,VEというクールなフィルターを通して,デザイン業務全体の体質改善,およびデザイナーの意識改革を目標とし,手仕事的な作業を省力化することにより,デザイン本来の機能である,発想部分に重点をおいた,デザインプロセスを展開し,将来の状況を予測し,それを描くことのできるという,デザイン独自の秘法と信用を,確保することを目的としなければならない。

目次

  • PART 1. 概要
  • PART 2. デザインの特異性
  • PART 3. VE的システムデザインプロセス
  • PART 4 .合理化改善後のデザイン活動
  • PART 5. おわりに

発行年

1978年 VE研究論文集 Vol.9

著者

日本ビクター株式会社
デザイン部
古橋順越
日本ビクター株式会社
デザイン部
西垣紘一
日本ビクター株式会社
デザイン部
吉田勝治

カテゴリー

  • VEテクニック

キーワード

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