アイデアの『バリュー評価法』によるVAの進め方

論文

オーディオ業界は,今,深刻な構造変化の時期に直面している。ひとつには,輸出比率の高いこの業界は,欧米市場の長期不況のために,売り上げを低迷させていること,更に国内においても需要の一巡,個人消費の低迷などにより,昨年は,前年より1割方売り上げが減少した。ふたつめには,第3国グループなどに,低価格品はシェアを譲り渡す傾向が続いている。もうひとつは,今までのアナログ技術からデジタル技術への転換に象徴される技術革新,新素材の時代を迎えたためである。今年秋,コンピュータ技術の応用であるDAD(デジタル・オーディオ・ディスク)という新しい規格のレコードとプレーヤーを一斉に発表する。今までのアナログ式のレコードよりも,音質は良くなるが,各社ごとの音の個性は,さらになくなることが予想される。そうなると,オーディオ製品は,趣味の製品というよりも,安くて良い物を作ることの競争になって行くことが考えられる。今まで,高度成長から低成長への変化を,減量経営,軽量経営によって乗り切ってきた各企業は,今また,大きな試練に立たされているわけである。

当工場においても,昭和44年の工場独立以来,VA活動を展開,多くの成果をあげてきた。本年も,前述のような企業環境に対処するため,従来以上のVA活動の展開をはかるべく,意欲的に推進しているが,特に,VA効果実現のスピードアップおよび機会損失の撲滅に力点を置いている。

本論文で紹介する「アイデアのバリュー評価法」は,アイデアのレベルをビジュアル化し,それぞれの価値の評価を適確にすることで,VA成果の増大につながるという信念に基づいて展開しているVA活動のー技法である。

目次

  • 1. はじめに
  • 2. 当工場のVA活動の経緯
  • 3. 『バリュー評価法』誕生の背景
  • 4. 『バリュー評価法』具体的展開方法とステップ
  • 5. 『バリュー評価法』による成果
  • 6. 『バリュー評価法』の応用事例
  • 7. おわりに

発行年

1982年 VE研究論文集 Vol.13

著者

株式会社日立製作所
豊川工場 技術部VAグループ
伊藤一夫

カテゴリー

  • VEテクニック

キーワード

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