原価低減曲線による戦略的VE目標の設定

論文

VE活動が企業の収益改善に重要な役割を果たしていることは,今更いうまでもない。VEがわが国に導入されて以来,VEの戦術的側面,すなわちVEテクニックは,長足の進歩を遂げ,今後も更に発展することが予想される。

しかし,現在のVE活動が,企業の期待する役割を十分に果たしているかとなると,必ずしもそうとはいい難いのが現状である。

たとえば,ある不採算製品をとらえてVE活動を実施し,実現化時点では大きな成果が期待される結果を得たとする。しかし実際は,実現化時点,またはその後しばらくして再び不採算製品に転落するケースが多い。

このようなケースにおけるVE活動の最大の問題点は,間違ったVE目標値の設定であり,企業経営の立場からみた戦略的VE活動としての評価は,極めて低い。

価格競争の激しい製品の売価は,時間の経過と共に,急激かつ着実 (Quick and Steady) に下がる。「急激な売価ダウン」は,短期的にみると市場環境によって左右される場合が多いが,中・長期的にみると,プライスリーダーとなる主力企業のコストダウン戦略にかける強い意思が,その背景となっている。

本論文は,「急激な売価ダウン」に十分対応できるような戦略的VE目標の設定について,研究したものである。

具体的には,厳しい市場環境にある各種の製品について,製造原価の推移を原価低減曲線によって解析し,これらの資料をもとに,VE対象製品の中・長期的なあるべき製造原価の予測方法を確立した。

その結果,市場の急速な売価ダウンに対応するためには,大幅なモデルチェンジをともなう1st Look的なVEの実施が,前提条件となることが判明するとともに,その実施時期との関連において,中・長期的VE活動を展開する上での戦略的VE目標の設定が可能となった。

目次

  • はじめに
  • 1. 原価低減曲線について
  • 2. 原価低減曲線による事例研究
  • 3. 原価低減曲線によるVE目標の設定法
  • むすび

発行年

1983年 VE研究論文集 Vol.14

著者

東京芝浦電気株式会社
本社 資材部
小川政夫

カテゴリー

  • VEテクニック

キーワード

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