論文発行年度: 1992年 VE研究論文集 Vol.23

かつて生活水準向上と経済力拡大のために進めてきた大量生産、大量販売が環境に影響を与えるようになった。VErが携わって開発した高機能、低価格、高価値製品は顧客の満足を得て、生活の向上と企業の発展をもたらしたが、プラス面だけを評価できない時代になった。これからは企業の環境への取り組みが自らの存在と活動の必須の要件といえる。

地球環境問題のような複雑で難しい問題こそVE適用の新分野だと考え、企業市民としての対応と新しい価値観による「知恵ある豊かな生活」への変革を提案した。それを実現するため、環境保全を志向するVE推進の7原則をあげ、環境保全の12のキーワードと環境保全の8ステップなど5項目を示した。またこれらのVEジョブプランへの組み込み方と各ステップのチェックリストを例示した。さらにこの方法の実践事例を数件あげて、価値向上と環境保全にかかわる有効性を証明した。

開発の初期段階にVEを適用することの重要性については言を待たないが、二次メーカ一、三次メーカーと縦の繋がりによって構成されている我が国の自動車製造業界においては、中小の部品メーカーがVEを展開する上で、数々の障害があることも事実である。今回はいすゞ自動車グループ21社が3年に渡って研究してきた『自動車部品を扱う中小メーカーにとって、効率の良いVE展開手法とは何か』についてその研究成果を報告する。

企業における課題/問題が大きく複雑になってくると,その解決のためには局面に応じて最も有効な手段/道具(管理技術)の選定が重要となってくる。しかしながら,道具は良くてもそれを使う人の技量が見合っていないと十分な効果をあげられない。要は,企業にとって手なれた道具を有効に活用して成果をあげることである。本論文は,新製品の企画段階においてQCとVEの特長を生かし,品質表と機能・方式を融合・展開し,企画した製品の価値評価の方法を提案するもので,特徴として次の点があげられる。

1) 機能の達成条件は品質表により企画する

2) 機能評価値は方式評価値(基本方式の品質特性達成度合い)とする

3) 価値評価は基本方式の設計品質総合評価値と方式コストにより行う

システム機器における価値評価の対象として、機能・性能や操作性と並んで整備が重要視されつつある。整備とは、整備員、補給支援、ツール、技術データなどの整備要素を統合したもので、稼働率の向上を図るのが狙いである。

ここでは、フライトシミュレータというシステム機器の整備を例にとり、VE基本式を構築するとともに、その整備価値を分析するため、パラメータを設定してケーススタディを行った。また、ライフサイクルコストからみた評価を試みた。

システム機器の整備価値とは何か。これまで注目されることの少なかった、こうした課題に対し、一つの考え方を示した。

半導体製造用生産設備は非常に高価なため、出来るだけ設備を休めずに、動かす時間の割合を大きくすべく使い方の工夫をして、一枚当たりのウエーハの償却費などを小さくする事が大切である。そのためには、設備の稼動率を出来るだけ大きくし、一枚当たりの処理時間を出来るだけ小さくすることが必要である。またライン全体の処理能力改善を出来るだけ時間的にも、経済的にも効率的に行うには改善の順序を決めることが必要である。

時代とともに顧客のニーズが高度化・多様化している。それに応えるためには、従来の調達方法では対応が難しくなってきた。従来の調達業務では、主に作業所からの資材、労務および外注の購入依頼により商談し契約を行ったが、顧客および社会のニーズに応えるには、事業の流れの各段階で、営業・設計段階まで川上にさかのぼり、顧客のニーズ情報を収集、分析をしてVE手法を用いて改善し提案する方法を取り入れる必要がある。

特徴としては、従来の機能系統図と調達業務より作成した機能系統図を重ねて活用する方法を取り入れている。後者の機能系統図を調達機能ツリー図と名付けた。この調達機能ツリー図を用いて改善対象機能を決めたり、機能評価およびアイデアの評価に活用する方法を取っている。

また、提案方法では顧客に改善案を納得していただきやすい方法を取っている。その活動結果を情報として蓄積し、他の工事物件で資料として活用が出来るようにしている。

以上をVEステップに盛り込み適用したところ数多くの良い効果が得られた。今回、論文にまとめ報告する。

最近特に地球規模の環境問題がクローズアップされ,全世界的に対策の必要性が緊急課題として取り上げられるようになってきた。

このような中で,建設産業にとっても環境問題を抜きにしては工事が出来なくなりつつあり,社内における建設VEの中にも環境問題を取り上げたものが多く提案されるようになってきた。そのため,このような環境改善のVE提案を正しく評価するための評価基準が必要とされるようになった。また,環境対策を行う際に,その基本的な考え方と評価方法を示す事によって,より有効な環境対策が計られると考える。

ここでは,当社のVE実施例の評価項目の中に「環境への貢献度」をつけ加えるに当たり,評価方法のーつとして,その基本的考え方に化石燃料の消費削減をとり上げ,建設VEにおける消費エネルギーの削減量を「エネルギーコスト」に換算することにより,定量的に評価する方法を提案する。

そもそも「地球の環境」は我々に対しての思恵そのものである。この思恵を今後も享受するために,我々が地球環境を良好な状態に保全・維持するのは当然の理りである。この当然の理りを『地球環境にやさしい(Environment-Friendly)』の言葉で表現したもので,昨今のマスコミを賑わすキーワードとなっている。

この当然の理り『地球環境にやさしい』が,企業の経営理念・個人の生活観念ばかりでなく,製品VA/VE活動にも要求されるのである。

この論文は,筆者が発案した新しい価値概念『トータル価値』による「地球環境にやさしい製品VA/VE活動」の基本的な考え方について述べるものである。