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VEリーダー(VEL)の資格を取得したものの、実務に活用できていない者が少なく

ない。そこで、本論文はVELの実践能力を向上するため、成人教育理論を活用した全員参画型のフォローアップ教育プログラムの構築方法を提案するものである。

成人教育理論では、成人を「社会生活を営む上で生じる課題・問題に対処するため学習する存在」と捉え、子どもの学習とは異なるアプローチでより効果的な学習支援ができると考える。

こ の理論を活用してVELの実践能力を向上するための教育プログラム構築手順を考案し、例として機能系統図作成の応用手法に関するフォローアップ教育プログ ラムを実施した。他の教育形態との比較、受講後のレポート・アンケートの結果、実務へのVE適用状況から教育効果を評価し、VELの実践能力を向上する教 育プログラムが構築できたことを確認した。

第40回VE全国大会(2007年開催)において、「VE実践力向上のための人材育成プログラム」と題したVE研究論文を発表した。この中で、VE実践力の向上を図る方法として、実課題の解決を通じた人材育成プログラムを紹介した。この育成プログラムの基本的なカリキュラムや適用事例は既に示したとおりであるが、その課題解決力・VE実践力育成の主要な要素は次の4つであると考えられる。①必要な知識の習得、②習得した知識を基に考えさせる、③VE活動の実施、④VE活動における問題点の指摘。

本論文では、これら4つの要素について、育成対象者のVE活動を実施する実践力や対象とする課題に合わせて、どのように指導すべきかなど、より具体的な対処方法に踏み込んで考察を加えると共に、実施結果からの知見も紹介する。

本人材育成プログラムの考え方を適用して、部長クラスのプロジェクト・リーダーをVE活動の効率的な進め方(プロセス)を設定でき、部下への効率的なVE活動の進め方の指導のできる人材を育成することで、部門全体のVE実践力の向上に繋がっている。

VE活動において抜本的なアイデアを得るためには、VEを専門的に実施する専門家よりも、実務を一定期間経験し業務に精通した者がVEを正しく理解し活用した方が効果的である。弊社でも、各部門がVE活動を自立的に実施できるVE活動の成熟期に向けて、VE教育を行うとともに、VE活動の指導や自立に向けた働きかけを継続しているが、自ら自立的に適切なVE活動を実施できる人材が増えていない。

そこで、本論文ではVE活動を自らの実践力で自立的に実施できる人材を育成するプログラムを提案するものである。これにより、VEの技術を駆使して課題を解決し企業の利益創出に貢献できる人材を育成し、その人が次の世代を育成して自立させることで、企業体質を改善することが狙いである。

本育成プログラムの適用により育成対象者のVE活動の実践力は着実に向上しており、期待される効果は得られたものと考える。

VEの実務において、従来よりもVE活動の時間は減少しているにもかかわらず以前より良いアイデアの発想を要求され、また、VE資格は取得したものの実務に活用できない者が少なくないという現象が見られる。こうした現象から、現在のVE活動が必要としているものとして、VE実務の短縮化と新たなアイデア発想技法の開発およびVE技法の簡素化等が考えられる。この問題を解決するために、本論文ではVEとは別の方法論であるTRIZをVEの中に組み入れ、両手法の長所を生かした新たな手法を提案し現状打開の一助としたい。

本論文は、従来のVEにおいて効果的な解決が難しい部分にTRIZの概念を導入し、VEが次世代を目指した新しい手法として位置付けられるように模索したものである。

VEリーダー(VEL)の資格を取得しVEに関する基本的な考え方や進め方は理解しているものの、これを実務に活用できない者が少なくない。そこで本論文は、VELの実践能力不足を解決あるいは補助するため、コンピテンシーモデル(Competency Model)を作成しこれを活用する方法を提案するものである。

コンピテンシーは、高業績を上げている人達にみられる共通の行動特性や思考特性のことである。それはその人が保有している知的能力だけではなく、それに加えて具体的な行動として現れた能力のことである。

このコンピテンシーを、高業績者のノウハウ的な行動特性としてモデル化し、その活用による人材能力の向上(仕事のできる人をつくる)と企業の発展(業績を向上させる)を目的に欧米で導入が広まっている。わが国でも人材マネジメント全般へ人材能力向上に活用する研究が始められている。本論文は、この方法を応用してVELの実践能力の向上を図るものである。

VE技法を効果的に活用し大きな成果を得るために、VEチームリーダーはVE技法の知識と実践能力を磨くに留まらず、VEを分かりやすく伝え、受け手の感情に配慮して生産的なコミュニケーションを行うことを通して、VEチームを目標達成に導く原動力にならなければならない。

一方で昨今、「活動や議論を促進する人」という意味で、ファシリテーターという役割を担う人材が、会議やプロジェクト活動の運営、組織・風土の活性化において活躍する場が増えている。ファシリテーターの役割と、上述したVEチームリーダーに求められる役割やスキルとは類似した点が多いと考えたため、本論文では「VEファシリテーション」という新しい呼称を用いて提案する。

VEファシリテーションの技術を通して、VEチームリーダーがチームメンバーに与える効果という側面から考えたとき、VE実施手順の3つの基本ステップは、納得性を高める段階と創造性を発揮する段階に分けられ、それぞれにおいて特徴的なVEファシリテーションの技術があると考えた。そこで本論文では、VEチームに初めて参加するメンバーが、やがて自立してVE活動ができる能力を身に付けていく過程を通して、その場面場面に応じた具体的なVEファシリテーションを、「納得」と「創造」を引き出す技術として整理した。また、VEファシリテーションにおいて、VEチームリーダーのチームメンバーに対する姿勢やコミュニケーション技術が重要であることから、対話例も多く挿入した。