想いを伝える(7)   (ゆ)  No.198

こんにちは。公益社団法人日本バリュー・エンジニアリング協会事務局の(ゆ)です。

先週末に東京国立博物館の「出雲と大和」展(https://izumo-yamato2020.jp/)に誘われて行ってきました。1000年以上という時を隔ててはいても、古墳からの夥しい数の埋葬品からは古人の様々な想いが伝わってくるようでした。更に、出雲大社の社殿や仏像など、技術の素晴らしさにも感銘を受けました。

待合せ時間まで余裕があったので、開催されたばかりの「日本の美術展」という展覧会にも入ってみました。こちらは写真撮影が可能だったので、現代を生きる作家さん達の想いが伝わってくる作品の中で気に入ったものを何点か撮っていましたら、ある作品の前にいらした作家さんとお話をすることができました。

実は、今は亡きお嬢様への想いを込めて作られたということを伺い、このブログ№196「想いを伝える(5)(https://www.sjve.org/18287)」でも書きましたが、「亡くなられた方への想いを込めて作られたものというのは、その方へのご供養にもなるそうですよ」ということをお伝えしたら、『いいお話を聞けて良かった』と涙を流されていらっしゃいました。心優しいこの方の作品は来月はスイスで展示されるとのことでしたが、ブログ掲載の許可もいただけましたので、いつかアップさせていただく予定です。

私のブログ集へ込めた想いも受け取って喜んでくださった方々がいらして本当に嬉しかったのですが、昨年にお渡しすることができてよかったと心から思った方もいらっしゃいました。

お一人は、ブログ№189「本をつくる(4)(https://www.sjve.org/18060)」にも登場されましたが、当会特別参与の中神芳夫先生です。私の担当した「VEハンドブック」の編集委員として大変お世話になりましたし、英語も堪能でいらしたので、VE誌の方でも多くの翻訳原稿をご執筆されていらっしゃいました。パソコンがない時代は原稿用紙に手書きで書かれていらっしゃいましたが、まるで活字のような几帳面で綺麗な筆跡にいつも感動していました。

ブログ集を差し上げた時、『HPの方も読んでいるけど、凄いねー』と喜んでくださった時の会話が最後の会話となり、残念ながら今年の1月に82歳で亡くなられてしまいました。ご葬儀では、「VEハンドブック」を一緒に編集された田中雅康先生や土屋裕先生が寂しそうにご挨拶をされていらっしゃいました。この場をお借りして改めてご冥福をお祈りしたいと思います。

更に、もう一人、私の従兄弟なのですが、ブログ集を手にした次の日に『ブログ集も、その後のHPのブログも全部読んだよ。自分で手がけたVEの事例もあるので見てみてね』と、時短に関する事例をすぐに送ってくれました。そして、それから3か月後に急逝してしまいました。あまりに突然の出来事だった上に遺影にしたという写真しか見ていないので、いまだに実感がわかないのですが、実は今日が彼の誕生日で、何事もなければ63歳になっていたはずでした。

中学生時代の東京都全体のテストではトップだったことを叔母(彼の母親ですが、テストが98点だと叱ったそうです)から聞きましたが、私が実力以上の高校に合格できたのは、この優秀な従兄弟が受験勉強をみてくれたお陰といっても過言ではありません。ブログ№41「旅をする(2)(https://www.sjve.org/8909)」でも書きましたが、余命宣告をされた父の喜寿を祝うために旅行を企画して親族達を招待してくれたのも彼でした。そして、彼に伝えておきたいことがあったのですが、このブログ集がきっかけでそれを伝えることもでき、生前に渡すことができて本当によかったと思いました。

私の従兄弟のようにブログ集を一日で読破されたり、『枕元に置いて繰り返し』、『お昼休みに一つずつ』、『飴をなめるようにゆっくり』、『晩酌のお供にしながら』というふうに様々な楽しまれ方をされた方々から、『面白い』、『癒される』、『ためになる』などといったご感想を頂きました。中でも嬉しかったのは『自分でも何かを書いてみたくなった』というご感想でした。実は、上述の従兄弟もその中の一人なのですが、叔母によれば昔から小説を書きたかったそうで、リタイア後には文才を始め自分の才能を使ってやってみたいことはたくさんあったはずです。在職中は経営陣だったので、仕事はスピードが勝負だったのかもしれませんが、人生も生き急いでしまったようでとても残念な気がします。

自然災害やパンデミック等々、予期せぬ出来事が多い昨今、何かをやってみたいという「想い」や、誰かに伝えたい「想い」があるのなら、後悔しないようにできるだけ早めに行動したり伝えたりしておいた方がいいと思います。私は、ありがたいことに「ブログ集の第2弾」を心待ちにしてくださる方もいらっしゃるようで、引き続きこのブログを、今、ここにはいない人達も含めて色々な方々に「想いを伝える」手段としていきたいと思いますので、ご支援の程をよろしくお願い致します。

では、よい週末をお過ごしくださいませ。 (ゆ)

 

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