VE手法による建設業の営業の展開

論文

建設の市場は,経済成長の減速・社会資本の充実にともない,狭くなっていくのが当然ではある。しかし,企業は,そういった環境の中でも発展していかなくてはならない。むしろ,経済成長を加速し,社会資本を,さらに充実させる使命が建設産業にある。

建設業は,受注産業といわれているように,請負契約で工事を受注して,生産し,顧客に納入する形態である。つまり,顧客からの工事の発注があり,それに建設業者が応札し,受注して,はじめて工事をすることができる。こういった工事発注・受注という流れの中で,受注競争が展開されている。そして,建設業者が工事を受注する段階,逆に顧客からみれば発注する段階では,すでに顧客側の計画は定っており,設計図書・仕様書等は,でき上っていることが通常である。このような条件の中で受注競争に勝つ力は,コスト競争力になるわけである。しかし,この時期でのコスト競争による営業活動だけでは,受注が難しいのが現状である。決定済みの機能を安く作る営業活動には,自ら,手法・範囲が限られてくる。さらに,逆に顧客のニーズとは,かけ離れたものになることも多い。建設コストを下げることのみ,受注戦術とした場合,営業活動の範囲が限られ,受注のチャンスは少なくなる。

この壁を破り,顧客の求めているものに答えることが必要になってくる。具体的には,顧客の立場になって,機能アップ・価値向上をはかること,さらに顧客の新しい事業意欲を喚起して,社会資本として価値のあるものを作ることなどを,営業活動の対象にとり入れることが必要である。

そのための手段として,営業活動にもVE手法を適用し,「営業VE」と称する手法を開発した。この論文では,営業VEの内容を詳述する。

目次

  • 1. はじめに
  • 2. 営業VEのねらい
  • 3. 営業活動におけるVEへのアプローチ
  • 4. 営業VEの進め方
  • 4-1 全体ステップ
  • 4-2 各ステップの具体的な進め方
  • 5. 営業VEの実施
  • 6. おわりに

発行年

1984年 VE研究論文集 Vol.15

著者

フジタ工業株式会社
関東支店 開発部
花井隆次
フジタ工業株式会社
関東支店 VE推進部
星野正明

カテゴリー

  • VEの適用局面

キーワード

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