家庭のVE

論文

戦後,わが国の経済は,「20世紀の驚異」といわれる程の高度成長を成し遂げ,これを背景として国民の所得は急増し,消費力も旺盛となり,まさに「昭和元禄」を旺歌してきたが,オイルショックを契機とした資源不足による石油製品および関連製品のコスト高に起因する資材費の高勝を招き,そのあおりで消費者物価も狂乱的に高騰した。この結果,需要は下降の一途をたどり,政府の金融引締め策と相まって経済は縮小し,不況時代へと突入した。この物価も最近では落着きをみせてはいるが,国民は現在でも,なお逼迫した生活を余儀なくされている。

さらに,家庭内部においても,物心両面で多くの問題が潜在し,円滑な家庭生活を阻害しているのであるが,これらの問題に対し,現在,各家庭では問題発生後,応急処置的な対策を行なうのみで,抜本的な改善がなされていないのが,実態ではなかろうか。

かかる観点より「考える葦」であるわれわれ人間は,無限の頭脳を駆使して,社会の原点である家庭生活のあるべき姿をデザインし,より価値ある家庭生活を営むよう,あらゆる面で改善することが,いかに大切であるかを真剣に考える時代を迎えていると言えよう。

そこで私は,VE手法を家庭へ導入することに着眼し,「家庭のVE」と題して約2年間にわたり研究し,実施してみた結果,全支出の20パーセントの経費節減を行なうことができたばかりでなく,家庭生活のあるべき姿をデザインし,ほぼ満足する結果が得られたので,その実施内容を説明し,皆様のご批判を仰ぎたい。

目次

  • 1. はじめに
  • 2. 家庭生活における問題点とその解決方法
  • 3. なぜVEが必要か
  • 4. VEによる改善の概要
  • 4.1 対象と目標
  • 4.2 VEのステップ
  • 4.3 VE事例
  • 5. 考察
  • 6. おわりに

発行年

1975年 VE研究論文集 Vol.6

著者

三菱自動車工業株式会社
水島自動車製作所 生産技術部技術四課
藤原功

カテゴリー

  • VEの適用局面

キーワード

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