論文キーワード: 原価企画 9件

自社製品を保有する製造業において、企業の持続可能性を確保することは重要であり、自社製品の設計ノウハウの伝承は、企業の持続可能性を確保するための課題の一つである。そこで、機能定義を適切に実施することによる①製品の特有情報などを共有できる、②製品が果たすべき機能や制約条件を明確にできる、③設計の考え方を理解することができる、などの期待効果より、設計ノウハウ伝承のためにVEを適用するケースが増えている。
しかし、設計ノウハウを伝承したいVE対象に対し、VE活動を適用しても、設計ノウハウを期待値通りに伝承できたケースと期待値未達に終わったケースが発生している。そこで、設計ノウハウ伝承時のVEの有効性を高めるための工夫点やファシリテーションの留意点などを提案する。

従来の現場作業の改善は、現場主体の小集団チームにて実施されており、それに活用される手法としては、IE やQC が主体的に用いられてきた。そしてこの活動は、確実に成果をあげてきた。しかしながら近年の少子化による現場作業者の減少とICT の急速な進歩により現場作業の改善方法の変革が必要となってきている。筆者らは、現場作業の改善を組織的知識創造のSECI モデルの概念にしたがって実施することを推進している。これは現場作業の情報を形式知の情報に変換してデータベースを構築し、その情報を活用して組織的な改善を実施する。次に改善した情報を現場に提供し、現場を含めた組織全体で情報を共有化する活動である。筆者らは、この情報を活用して組織的な改善を実施するひとつの手法としてFAST とTRIZ を組み合わせる手順を考案した。まずFAST ダイヤグラムにより現場作業の問題点を可視化する。そして継続的改善の方法としてTRIZ の「技術矛盾と発明原理」を活用する。一方、革新的改善の方法としてTRIZ の「技術進化のトレンド」を活用する。本実践論文では、この手法を論じ、この手法を用いて実際の大型ガスタービンの部品加工の改善案を創出した実践事例を報告する。

VEの適用が製品やサービスの価値向上に成果をあげていることは様々な事例から示されている。さらには、機能とコストの大部分が決まってしまう開発の上流段階でVEを適用することにより、その成果は拡大する。したがって原価企画活動の目標達成には開発上流でのVE適用が有効である。
VE活動を次に示すとおりフェーズ1、2と段階的に活動の仕組みを改善し、原価企画活動における開発上流でのVE適用比率向上を図り、原価企画の目標原価達成比率100%継続と活動対象機種の売上高比率向上により、経営に貢献した。
(1)フェーズ1:推進事務局が主体で活動し、活動体制と仕組みを構築した。
(2)フェーズ2:フェーズ1で構築した仕組みを活用し、設計部門主体の活動への移行により開発上流段階におけるVE適用の仕組みを定着化させた。

グローバルなコスト競争が一層激化する中、Tier1(完成車メーカーに直接製品を供給するメーカー)のお客様では製品の開発期間の短縮、円滑な立上を目的とする量試一貫活動が進められている。これは、試作から量産までを同一の仕入先で検討する活動である 。図面完成後の後追い的な原価改善では、限界がある。開発の早い時期から参画出来れば、形状から材質など改善範囲は広がる。更には、上流の企画・構想段階からならば、機能に合わせた提案も可能となる。源流段階からのVE・原価企画活動による競争力のあるコストの作り込みが重要になっている。
樹脂成形品における「源流原価企画活動」についての考え方や具体的な進め方について成功事例を基に解説する。

本研究は、原価企画の支援業務を改善するために、VEの5原則から原価企画の支援業務に対する受援者側の視点と切り口を決め、改善に必要な機能を抽出する方法を提案し、その有効性を明らかにするものである。要旨の第一は、原価企画の支援業務に対する改善視点の重要性を明確に述べた。第二は、この受援者の視点と切り口を三つのマトリックスにまとめ、機能抽出する方法を提案した。その受援者の視点は、支援者本人の立場と支援業務を評価する立場である。改善の切り口は三つである。一つには、順機能からの機能抽出、二つには、逆機能・実際認識からの機能抽出、三つには、要望からの機能抽出である。最後に、これらが原価企画の支援業務の改善に効果的であることを明らかにする。

昨今の製品開発には、性能や機能のみならず、製品のコスト低減が重要となっていることは、どの企業でも同様である。海外メーカーや海外生産製品の均質化により、企業が生き残るために、コストは製品開発の中でも非常に重要なファクターとなっている。

それ故、必要な機能を満足し、必要な利益を上げるために、製品開発に原価企画を導入している企業が多い。

さらに、製品については、ユーザーニーズの変化や多様化により、多くの製品ラインナップを揃え、さらに、各々の機種に多岐にわたるバリエーションが必要となっており、多品種少量化への対応が余儀なくされている。

製品の種類が増加すれば、それだけの部品が新たに発生する要因となる。当然、部品点数増大がもたらす弊害が懸念され、部品の増大を防ぐため、共通化は製品開発を行う上で必須項目となる。

本論文では、製品ラインナップを構成するシリーズ製品群の開発に、原価企画活動を適用する際の「シリーズ製品共通化計画」の立案方法について考察する。

顧客ニーズの多様化や製品ライフサイクルの短期間化に対応するため、製造業各社の開発製品数は急増し、製品開発プロジェクト価値をいかに向上させるかが重要な課題となっている。そこで、多数の開発プロジェクトにおいて、プロジェクト価値向上のためにバリューマネジメントをいかに行っていくか、またいかに組織展開していくかについて提言する。VE技法とプロジェクトマネジメント技法とを融合させた新たなバリューマネジメント技法について述べる。

企業が永続的に発展するためには、それぞれの製品が必要利益を確保していかねばならない。そのための方策として原価企画が有効である。しかし、従来発表された原価企画は、どちらかというと完成品メーカー(例えば自動車とか、家電製品等)の新製品開発段階における展開方法に関するものが多く、部品メーカー(この場合、機能分野ごとに引合いを受けて生産している専門メーカーをいう)にとって活用しづらいものが多かった。

本論文では、部品メーカーにとって有効な原価企画の展開方法を、戦略・戦術的観点から望ましい「あるべき姿」を示すと共に、効果的に推進するための具体的方策として、①攻めの原価企画②守りの原価企画③要素別VE の3つの活動を効果的に組み合わせる方式を提案する。そして、これら3つの活動における現状の問題点を明確にし、その対応策として具体的ステップを示し、各ステップがなぜ必要なのか、また、なぜそうせねばならいのかについて解説する。

大競争時代下で価格競争の厳しい家電業界では開発製品に対して、厳しい目標原価の設定と開発期間の短縮が必要である。しかし、収益確保に必要な厳しい目標原価を達成できずに製品化する事例がある。

本論文は目標原価未達の課題を改善するために、開発設計段階の目標原価達成手法である原価企画活動を1994年から実施してきた事例について目標原価未達の原因を分析評価した。この結果に基づいて、原価管理とVEを具体的に融合させてVE担当者が目標達成意欲をだせるシステマティックで組織的な活動をコンカレントにできる実践的な原価企画とVE活動システムを開発したのでこれについて述べる。