論文カテゴリー: 開発設計とVE 56件

半導体製品のVEアプローチは非常に難しいと言われているが,当社に於ては,プロセス改善による歩留向上生産効率の改善等を行って来た。然るに原価の1/3弱を占める「部品材料」(以下「部材」と略す)の改善は製品原価の直接費の中で最も大きい比率を占めVE改善活動の大勢を決めると言っても過言ではない。そこで,VE活動活性化のため半導体独特の部材改善アプローチを考えた。それには,機能相当パラメータによる評価値を算出しバランスチャート図に表現した改善ポテンシャル発見技法を主なツールとして使用した。

建設業は従来からの未解決の問題を抱えたまま,国内建設需要の伸び悩み,実質生産性の低下,海外からの市場開放圧力等の問題に直面している。

我が国経済は既に成熟しており,21世紀に向けて建設業はエンジニヤリング・コントラクター化,ソフト化を指向するとともに,ー層の合理化を進めなければならない。

合理化の原点は作業所にあり,工事施工を分担するパートナーであるサブコンの責任施工能力の向上が不可欠である。とりわけ施工管理の鍵を握る作業監督者の資質向上が重要である。

本論文は,建設業作業所の管理組織構造およびその生産性向上に関する各種管理技法の効果を比較して述べる。また建設業の法的義務である作業監督者の職能開発教育に着目し,法定教育カリキュラムにVE研修を組み込んで,業務とVE研修を緊密にリンクさせた仕組みおよび具体的成果について述べる。

VHSの成功は研究開発だけの成功ではない。しかし研究開発がうまく行ったからこそ成功したのも事実である。VHSの開発をながめてみるとそこに効率の良さが感じられVE手法が見られる。

そこで,研究開発とVEについての考察を試みた。

VE手法を無理につかうのではなく,成果を出そうとすれば自然にVE手法を使うようになるというのが,この論文の骨子であり,私の主張である。

製品ライフサイクルが短くなるにつれて,VEの適用時期は次第に上流にさかのぼり,開発設計段階から商品企画段階に至ろうとしている。

複数のモジュール商品を組み合わせて構成する,システム製品と呼ばれる商品では,個別のモジュール商品の機能にとらわれない自由な発想で,長期的な展望に基づく新システムを構想企画することができる。

ところがこの場合でも,実際の商品企画では,どんな新機能を,いつ,いくらで,どんなモジュール商品として発売するかという,個別の計画が最も重要な課題であり,どうすれば顧客が喜ぶかに日夜頭を悩ませているのが現状である。

今回の研究は「価値指数」の技法をベースにして,これを発展させたもので,商品企画段階での新機能の評価に関する技法を提供することを目的としたものである。

低成長時代の到来,円高ドル安等,日本経済を取り巻く環境は,大変きびしい状況にある。このような情勢下で各企業は,新製品の研究・開発に力を入れ在来製品の枠の拡大と新市場への進出の機会をうかがっている。

創造的アプローチのVE技法は,時代の要請に応えるべく新製品開発,新市場開拓などの分野で大いに活用され成果を上げて来ている。

しかしながら創造活動が中心の研究・開発段階でのVE適用は,まだまだ浸透しているとは,言いがたい。本論文では,開発VEが企業内で浸透しにくい理由を分析した結果,研究・開発技術者の意識変革が必要であるとの観点から,開発VEの新定義を提唱する。さらに,研究開発段階の創造活動の効率化をはかるのに有効な機能分析法(目的展開図法,アイデア展開図法)も開発したので合わせて紹介する。

現在の建設業界は,昭和40年代後半から50年代初期にかけての高度成長期にそのピークを極め,ゆるやかな安定成長といわれる中で,生き残りを賭けた熾烈な企業間の競合を展開している。

今日の競合の特徴は過去の成長期のごとくの受注量の拡大とは異なり,効率化と多角化にある。

拡大することのないパイのもと,各企業とも,効率化へ向けての各種の管理技法に一層の磨をかける一方で,多角化へ向けて,業際の拡大,今後の社会やニーズの変化への対応といった観点からの企業体質の変革を押し進めている。

当社においても,建設業の旧来からの体質である請負型の企業体質を脱皮すべく,同業他社に先がけ,「脱請負」をスローガンに複合システム産業化を目指して,体質の革新を続けている。

さらに,具体的な戦略として「造注体制」の確立を打ち出して事業活動を展開している。

我々の言う「造注」とは,顧客のニーズの先取り,または喚起,掘起しを行うことから,顧客に対する事業提案を行い,新たな需要の創造を目指すものである。

この様な一連の事業活動において,VEはそれらを支える大きな柱となっている。

現在は業務全般に適用され,企業内の効率化はもとより,激しいコスト競争の内での事業提案や構築物の内容の充実と差別化戦略の徹底等において有力な武器となり,企業間の競合を切り抜けている。

我々設計部門は,造注戦略の内では上流に位置し,顧客のニーズの十分な把握から,事業提案を創出し,事業化推進を押し進めるためのカジ取りを担っている。

こういった意味からも,設計部門におけるVE活動はその重要性を一層増すこととなった。

我々は,その重要性を認識し,より上流でのVE適用を計り,より一層の顧客への価値向上を果すべく,従来のVE手法を見直し,検討を加えた。

そして,ここに紹介する設計VE手法へと結実し,展開するに至った。

VEの特徴の一つに「顧客本位の考え方」がある。建設設計を行う上でも,顧客抜きには考えられない。

日経アーキテクチャーが,法人に「今後,建築家,設計者にどのような面でその能力の発揮を期待するか」を質問したアンケート資料がある。その結果の上位3つを列記してみると

①コストに対する認識の高揚

②施主の意図を的確に把握する能力

③発注者が全面的に信頼して任せられる体制の整備の順となり,今回の論文を考えて行く上でのメインテーマとした。

この論文では,これをかみ砕いて,次のような方法を考えた。

①営業・建築設計担当者が,顧客ニーズの確認のための「顧客ニーズ確認書」を作った。

②その顧客ニーズ調査より,ニーズを機能定義するための「顧客ニーズ機能定義変換シート」を作った。

③建物の基本機能に,ニーズよりの機能を加え機能系統図を作る。

④対象機能分野を選び,その機能別コストを算出する「VE顧客ニーズ機能評価表」を作った。

以上のワークシート等を作り,既設のVEステップを加えた。

この方法を使って設計を行うと顧客にも喜ばれかつ社内シーズにも応えることが出来たので提言する。

普及率の向上に伴い,成熟商品の仲間入りをしたエアコン業界の動向を現象面より眺めると,

①単発的な機能付加競争・価格競争が激化してくる。

②製品の開発期間短縮と,開発技術力の平準化により企業の収益性が低下傾向にある。

等が生じる。

このような環境の中でのVE活動は,市場価格対応優先で,売価DOWNのための活動に終わりがちである。

従って,顧客ニーズに立脚した価値改善活動による,利益計画にリンクした活動が必要であり,次期新製品開発段階における源流管理を重視した,許容原価に基づく取り組みが今後重要である。

しかしながら,企画段階におけるVEの必要性は従来より叫ばれているものの,DTCを代表とする目標設定技法は,VEへの適合性,および実用性の面より,実践的なアプローチ内容の必要性を感じる。

そこで,企画段階において,客観性のある機能評価,およびアイデア発想の指針が得られ,設計部門で次期新製品の開発目標コスト造りに,有効的なVEアプローチの一つの方法論について述べる。

VEの対象である一般的な製品の開発は,商品企画から製造までのプロセスを,ある開発期間(時系列)のなかで,順々にステップをふんで進めている。

VEは個々の対象に応じて,開発のVE(0 Look VE)設計のVE(1st…)等で,開発プロセスと結びつけ展開しようとしているが,現状のVEのあり方は,いつも対象全体を「一括」(基本機能~未端機能)して扱うことを基本としているため,開発プロセスへの対応・適用という面からみると「しっくり」行かない場面が多々出てくる。

そこで,それを「しっくり」させるために,「VEを分割」し,この分割したVEを開発プロセスの各フェイズに対応・適用し,開発プロセスの流れにそって展開するVEの新展開プログラムを開発したので,その全体について発表する。

商品を開発して顧客に提供する迄のプロセスとしては「何を作るか」と「どのように作るか」という流れがメーカーサイドには有る。その中で「何を作るか」に対応する形でのVAの適用は,昨今,マーケティングVAとか,バリューマーケティングとか言われて商品コンセプト構築段階でのVA技法として,開発されつつある。

一方,「どのように作るか」を検討する段階でのVAの適用は,製品開発段階から,0 Look VAとか,1st Look VA という形で積極的に実施されており,当社においてはほとんどこの面に力点が置かれたVAが展開されている。この製品開発段階のVAにおいては,ともすると構造,方式等の面に検討の中心が置かれ,生産性,組立性を考えた上での分析が,ないがしろにされていた。これは,生産性とか組立性とかが漠然としていて適当な評価基準なり,改善指針が無く,つかみ所の無いことに大きく起因するものと思われる。本論文は,従来比較的軽視されがちであったこの面に焦点を当てて,組立性による機能評価を実施し,それに基づいてアイデアを抽出し,製品構造を決定する技法であり,これを適用することにより,生産性が良く,ロボット組立等の自動組立にも適し,信頼性,保守性にも優れた製品を開発することを意図したものである。