論文カテゴリー: ソフトVE 18件

現今の厳しい経済環境下にあって,企業は間接部門の効率化に取り組むことが必須事項である。これの有効な手段はソフトVA活動である。と認識していても実態は伴わない。本論文はこれを追求し,取り組みやすいソフトVA技法の開発により,活動の定着化を営業部門の実践活動で実証している。また,本技法の特徴は,見えない業務機能を見えやすく機能定義していること。及びソフトVA活動は,TFP活動もさることながら改善提案事項を組織全体が受まとめて,着実に実行させることが難問であり,これを解決している点である。

管理・間接部門の生産性向上が急務となっており,この部門に科学的管理技法であるVEが適用され始めている。建設業の特殊条件をふまえ,ソフトVEを効果的に実施するために,VE管理システムとVE実施システム,トップダウンのVEとボトムアップのなどの仕組について考察した。

当社は,建設業界の中ではVEを真っ先に導入し,以来,10数年にわたり,作業所におけるハードVE,数年前からは事務部門,管理部門においてもソフトVEと取り組み,着実に成果を上げつつある。

しかしながら,われわれ建設業のVE活動のメインはあくまで作業所を中心としたVEであり,かつ,また取り組みやすく,直接的成果も大きいのが特徴である。

本論文は,作業所におけるVEの取り組みに対する2回の発表"制約条件とVE" "建設作業所における工事ソフトVEの展開"に続く研究成果をまとめたものである。

作業所におけるVEテーマも,導入時には単純な治具工具の改善,型枠,足場工法などの純ハード的な改善が多く,従来の機能展開法で解決をはかり,成果を得てきたが,最近ではソフト的な複雑な工法,システム的問題解決を要求するテーマが多くなっており,新しい解決技法が要求されてきているゆえんである。

われわれは,それらの要求に応じた解決法を"問題点と機能変換,新しい機能評価の手法"等を研究した結果,一応の成果を得たので,ここに発表する。

本論文は,建設作業所におけるVE適用分野の拡大にともない,従来から使用してきた3時間VEと並行して使うことのできる,新しいVE手法の開発の過程を述べ,その結果「工事ソフトVE」を定義している。

工事ソフトVEは,機能展開において,物自体から定義される機能と,それを扱う考え方から必要となる機能の双方を入力しなければ満足のいかない作業所におけるVEテーマに適用する。

このような入力条件を機能変更する方法と留意点を述べ,最後に工事ソフトVEを施工計画に適用させる例を示し,全体像を表現する。

当工場は,エレクトロニクス製品を生産しているが,近年はマイクロコンピュータ,エレクトロニクス等の技術革新が激しく,それにともない製品のライフサイクルも次第に短くなってきている。この熾烈な競争に打ち勝つためには,新製品の開発,既製品の高機能化,小形化等のモデルチェンジを短期間に実施して,市場に展開していくことが,必須の条件となってきている。

VE活動を実施するにあたり,新製品の開発,既製品のモデルチェンジ等を効率的に実施し,かつ,大きな効果を得るために,機能展開のー技法として,ハードイメージ化によるFC分析技法(FC:Function and Cost)を開発,適用し,大きな効果を上げたので,以下報告する。

一般に機能分析は,VEの実施手順として広く採用され,その重要性も深く認識されているが,実際の運用面では,十分に実施されているとはいい難い。

その理由として

(1) VE活動メンバーは,一般的に製品をよく知っている設計者が主体となるため,対象製品の機能は,すでに頭の中で理解しており,いまさら面倒な機能展開はやらなくてもVEはできる,という考え方が支配的であること。

(2) 機能分析法は,対象となる製品の形,物といったハ一ド的イメージから遊離された考え方の方向性をもったため,特に設計者との相性が悪い。

等がある。

本開発技法は,ハード的な物(部品または装置)を機能と対応させてイメージ化し,機能展開を,より簡便に現実的なものとして実施しようとするものである。

VEの成果を拡大するために,最近では,ソフトVEの領域におけるVE活動が,ますます活発化してきた。しかしソフトVEは,ハードVEに比較して,対象となる領域が極めて広く,複雑多岐にわたるため,製品を対象としたVEのように,1パターンの展開が難しい。従って,ソフトVEの場合は,テーマに応じたアプローチの方法を,その都度,考え出さないと大きな成果につながらないことがある。

本論文は,多くの活動事例をもとに,ソフトVEの領域におけるいろいろな対象テーマの構成要素と,そのメカニズムを解析し,アプローチ方法のパターン化を研究したものである。

その結果,ソフトVEの対象テーマは,仕事の処理(時間または金額の削減)と仕事の流れ(スピードアップ)に分けて考えると,単純化されることがわかった。

仕事の処理には,情報の処理と物の処理があり,これらの大部分は,ハードVEと同じような考え方とテクニックで価値の評価ができる。

一方,仕事の流れには,情報の流れと物の流れがあり,特定のテーマを対象とする場合には,スピードアップまたは迅速化として,これらの流れが重要な意味を持つことがある。しかし,仕事の流れを評価する場合には,ソフトVEとして,新しい価値の概念を導入する必要があり,これについて検討を加えた。

以上について,大きな成果につながった実際の活動事例を引用しながら,以下に述べる。

産業の発展過程が成熟段階に達してくると,トータル的な考え方,進め方が,より重視されてくる。

VEにおいても,従来の製品を対象としたハードに加えて,間接部門の業務,管理システム等を対象としたソフトVEが活発になってきているのも,その現象の顕著な例の一つである。

ソフト対象は,改善効果の大きい「残されたVE領域」である。しかし,やってみると案外難しいのである。従来の製品を中心としたハードVEとは,多少趣を異にする。

現状分析をスタートにした2nd look的なアプローチでは,あまりに複雑で長時間を要し,効果もあがりにくいのである。

効果的なアプローチをするためには,いきなり分析したり,問題の細部に入り込むのでなく,取り組み対象の基本的問題に対応する仮説を設定し,その仮説を手がかりにして「あるべき姿」を描き,あるべき姿をとおして,現実的な解決をはかることが重要である。

本文において,経験にもとづいた仮説を設定し,その仮説を手がかりに,VEの科学的プロセスによって論理的,客観的にVE対象を改善していくソフトVEアプローチについて述べる。

わが国の就業者数は,製造部門で年平均1.4%ずつ減少し,オフィス部門では,年平均2.8%ずつ増加しつつあるという。

一方,米国における投資額と生産性向上率は,図表-1に示すように,製造部門の生産性が90%向上したのに対し,オフィス部門の方は,僅かに3%しか向上しなかったと伝えられている。

このような状況から,オフィスオートメーション(0A)の必要性が叫ばれるゆえんであり,80年代に生き残るための企業戦略の重要課題のーつとして「ホワイトカラーの生産性向上」が急速に浮上してきた。

同様の背景で,企業におけるVA活動も,製品などハードウェアの分野ばかりでなく,事務・手続き・組織・帳票などソフトウェアの分野へ適用分野が拡大しつつある。しかしながら,ハードウェアと比較して,ソフトウェア分野に関するVA技法研究は数少なく,特にソフトウェア分野ではヒューマンファクターの占める割合が大きいため,機能定義を行うのが難しいという問題点があった。

この論文では,事務・管理部門の業務改善などソフトウェア分野VA(以下ソフトVAという)機能定義に適用できる「機能モジュール」技法について紹介する。