下請中小企業の経営効率化のためのVE活動の実際

論文

安定成長時代を迎え経営環境により厳しさが増すとともに,企業経営の質が問題となる。特に,下請中小企業においては,経営の近代化がおくれ経営効率が甚だ低い企業が多く,経常基盤が脆弱である。

高成長期では,低賃金と長時間労働の労働集約型の経営を行なうことにより,企業収益を得ていたが,受注量の減少,採算の悪化に伴って収益性が急激に低下し,分岐点の売上高を確保できず,水面下の経営をよぎなくされている下請企業が増加しつつある。

企業体質を改善し経営効率を高めるためには,その企業に適した管理技法を導入し,経営責任者がリーダーシップを発揮し,全従業員の総力を結集して問題解決にあたる必要がある。このような下請中小企業に,VEを定着させるためには,単に技法の紹介のみではなく,利用可能な管理技法を適切に組み合わせ,企業体質の改善を図りながら収益性向上に役立つことを体験させることが重要である。本論文は,企業診断とその改善指導を計画的に実施し,下請企業の経営効率化を効果的に実現させようとするもので,資材部門のVE専任者としての研究課題でもあるので,今後とも一層の努力を傾注していきたいと考えている。

目次

  • 1. はじめに
  • 2. 企業体質の改善とVEの役割
  • 2-1 安全成長時代に対応したVE活動の進め方
  • 2-2 経営改善プロジェクトによる問題解決
  • 3. 協力会社の経営状況の把握と収益性の改善
  • 3-1 協力会社の経営状況の把握
  • 3-2 協力会社の収益性改善の進め方
  • 4. 創造性の醸成による経営力の向上
  • 4-1 定性要因による企業評価(経営力指標)
  • 4-2 従業員意識調査による問題点の発見
  • 5. 製造工程VEプロジェクト活動の進め方
  • 5-1 製造工程VEの実施例
  • 6. まとめ

発行年

1977年 VE研究論文集 Vol.8

著者

日本電気株式会社
資材部相模原購買部
山瀬栄吉

カテゴリー

  • 購買VE

キーワード

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