論文発行年度: 1988年 VE研究論文集 Vol.19

人間に代って,コンピュータに何をやらせようか,といった,顧客のシステム作りにおける欲求は年々増加の傾向にある。本論文はコンピュータシステムを稼働させるアプリケーションソフトウェアを開発,生産する企業において,昨今では不可欠となった「何をつくるか」のVEC活動,即ち「マーケティングVEC活動」の中で,もっとも重要とされる「顧客ニーズの収集」から「機能の構築」そして「顧客価値度合いの評価」等一連のステップに係わる技法の提案である。

機能定義はVE活動の基礎となる重要なステップであるが,なかなかうまくいかないことも事実である。特にソフトVEの機能定義はハードのVEにくらべ,技法としての整備がおくれているといえる。

この論文はソフトVEの機能定義用語の現状を調査した結果に基づいて,意志決定と情報の流れの面から機能定義用語を整理した内容を報告する。

ソフトVEの機能定義の効率化と普及に役立てようとするものである。

ソフトVEの領域は広範囲に渡るので,ワンパターンの展開はできない。そこでテーマや条件の特殊性をにらみ合わせて様々な展開の方法を工夫しながらVEプロジェクトを進めている。本論文では業務改善のためのVEジョブプランに的を絞り,従来の問題点を分析し,その問題に対応した,効率的かつ,実用的な展開のしかたを提示する。新しい展開方法の主な特徴は,ビジュアル化された機能分析(機能ツリー図と名付ける)と効率的なアイデア発想の方法(IPOアイデア発想シートと名付けたワークシートの利用)の2点がある。

建設作業所のVE活動は,従来の量的拡大から質的向上へと変化を迫られている。そこでその変化に対応するため,これまで各企業において多くのVE手法の研究開発がなされてきた。当初ハードVEを中心に取り組んできた作業所VEももはや単純なVEステップのみでは,工事ソフト的な対象テーマの問題解決は難しくなってきた。そこで本論文では,これまでの作業所VEの経験を踏まえVE手法の研究を進めてきたが,これを「簡略工事ソフトVE」手法として確立,多くの作業所で実践した結果,その有効性が認められたので新VE手法として発表する。

VHSの成功は研究開発だけの成功ではない。しかし研究開発がうまく行ったからこそ成功したのも事実である。VHSの開発をながめてみるとそこに効率の良さが感じられVE手法が見られる。

そこで,研究開発とVEについての考察を試みた。

VE手法を無理につかうのではなく,成果を出そうとすれば自然にVE手法を使うようになるというのが,この論文の骨子であり,私の主張である。

半導体製品のVEアプローチは非常に難しいと言われているが,当社に於ては,プロセス改善による歩留向上生産効率の改善等を行って来た。然るに原価の1/3弱を占める「部品材料」(以下「部材」と略す)の改善は製品原価の直接費の中で最も大きい比率を占めVE改善活動の大勢を決めると言っても過言ではない。そこで,VE活動活性化のため半導体独特の部材改善アプローチを考えた。それには,機能相当パラメータによる評価値を算出しバランスチャート図に表現した改善ポテンシャル発見技法を主なツールとして使用した。

建設業は従来からの未解決の問題を抱えたまま,国内建設需要の伸び悩み,実質生産性の低下,海外からの市場開放圧力等の問題に直面している。

我が国経済は既に成熟しており,21世紀に向けて建設業はエンジニヤリング・コントラクター化,ソフト化を指向するとともに,ー層の合理化を進めなければならない。

合理化の原点は作業所にあり,工事施工を分担するパートナーであるサブコンの責任施工能力の向上が不可欠である。とりわけ施工管理の鍵を握る作業監督者の資質向上が重要である。

本論文は,建設業作業所の管理組織構造およびその生産性向上に関する各種管理技法の効果を比較して述べる。また建設業の法的義務である作業監督者の職能開発教育に着目し,法定教育カリキュラムにVE研修を組み込んで,業務とVE研修を緊密にリンクさせた仕組みおよび具体的成果について述べる。

カラーテレビは,1インチ-1万円と言われた時代があり,製品の価格は,画面の大きさにほぼ比例するとされていた。また家庭用の冷凍冷蔵庫の価格は,庫内容積とほぼ比例関係にある。これに対しマイコン保温釜では,炊飯能力1リットルと1.5リットルの価格差は,僅か5%である。

規模の戦略および機能戦略のいずれの展開においても基本機能の機能達成度の水準を変更する場合には,変更後の基本機能のあるべき売価または原価をできるだけ正確に推定することが,VE目標を正しく設定する上で,極めて大切である。本論文は,この目的のために,各種製品(主として家電製品)について,機能達成度と標準価格の関係を求め,これらの関係を,評価係数kをパラメータとしてビジュアル化した。この結果,従来に比較し,開発製品の正しいVE目標の設定が可能になった。

近年,企業を取りまく経営環境は,厳しくなる一方である。各企業は,企業としての存続をかけて,多角化や分散化,集約化により,合理化,コストの低減化を計っている。

建設のコストに関する問題点を追求していくと,従来のように,イニシャルコストだけによる経済性評価では,評価として不十分であることが分かってきた。

一方,VEの分野においては,VEとは,最低のライフサイクルコストで必要な機能を確実に達成するために製品とかサービスの機能的研究に注ぐ組織的な努力であるとされているにも関わらず,わが国では,ライフサイクルコスティング(LCC)の研究が進んでいない現状である。

この問題を解決するため,現在価値法によるLCCの手法を,VEの中に組み込んで,新しい技法として体系を確立し,成果を上げたので,以下に報告するものである。

一般的に,個々の機能の定義は「名詞+動詞」を用いて「~を~する」という形でなされ,定義された個々の機能を有機的に体系づけたものを機能系統図と呼ぶ。しかし,個人あるいはVEチームのもつ機能の表現力の豊かさと,機能に基づくアイデア発想の拡張性には様々な限界が生じると共に,定義された個々の機能を樹木状に体系的に整理することは,大変な時間と労力を要するものであろう。そこで,本論文では,パーソナルコンピュータを利用することで,主に,アイデア発想の拡張,情報収集・蓄積とその有効利用を計るために,対話型で既知の機能用語を利用する方法,および経験と専門家の知識を利用したエキスパートシステム構築の方法について検討し考察する。

最近のVA活動は,益々その適用領域を拡大し,又,活動内容も高度なものになりつつある。この様な活動から創りだされる提案を如何にして効率的かつ効果的に評価し,より大きな成果を引き出すかは当社のみならず多くの企業にとっても共通の課題であると思う。

本論文は,当社が運用しているVA提案の評価システムをベースにVA活動における機会損失とは何かを具体的に示し,この損失を最小限に留めるための評価システムを提言するものである。

企業にとって最大の効果をあげるには経営の最適計画が必要不可欠であり,VEC活動においても同じことが言える。

本論文は,受注生産,システムが多岐に亘る,長工期などの特長を有する大型システム製品に対するVEC計画の最適化アプローチ法である。

アプローチの方法としては,VEC計画に当り,製品戦略,生産過程における各段階及びVEC活動形態の三つの要素に集約すると共に,各計画要素のメニューを整備して,三つの計画メニューをX.Y.Z軸に配置したモデルを活用し,VEC計画の最適化を図ろうとするもので,XYZ-VECプランニング法と名づけた。

当社のVEC活動は,その対象分野に適した技法を活用し効果をあげてきている。しかし,機構部品へのVECアプローチは,その専門知識にたより,機能追求に欠けていた。従来は,コストターゲットに合わせてアイデア発想,具体化していったが,この方法では,目標がコストしかなく,なかなか新しい切り口が見い出せなかった。

本技法では,機構部品の機能から,加工機能展開という新しいアプローチを行い,評価点を算出し更にコストに見合った加工数を設定することができる。

目標をコストから加工数に置き換えることによって具体化のためへのアイデア発想を効果的に行うことができる。

これにより構想段階で確実にコストと機能の最適な関係を作り上げることができる。

当工場では製品開発段階からのVEC活動である0 Look,1st Look-VECを重点的に実行し,大きな効果を上げている。

しかしながら,一方では収益率の低い製品の収益改善策として2nd Look-VECのニーズも高いのが現状である。

一般に,2nd Look-VECは低減ポテンシャルは小さいが,真に有効な2nd Look-VECについては,これを実行する必要があるので,VECの事前に概略の投資効果を見積り,VECの対象として適当かどうかを評価するようにしている。

見積り上の特徴は,改善に伴う変更のために直接的に支出される試作費,型・治工具費,設備費などの他に固定費として見過ごされがちな間接員の変更に費される工数を把握し,投入経費として積算していることである。

これによって,VECを実行することが真に有効であるかを従来は感覚的な判断によっていたものを定量化することができ,VEC対象の適正化を図っているのでその内容について紹介する。

建築設備業におけるVEテーマの多くは,工事受命後の施工準備段階で抽出される。工事の原案(設計図)の中には利益を生む"宝の山"が沢山ある。また着工後の顧客からの要求事項が追加・拡大されるのも通常のこととなっている。限られた予算の中で顧客ニーズに応え,請負者として利益を確保するために,VEは有効な手段となりつつある。

しかし,VEを実行すべき施工担当者は,受命後の業務繁忙の中では十分なVE活動ができない状況にある。その実態を把握し研究して,VE本来の成果を生み出せるコンパクトな方法を試みた。それは技術者であれば,一見して判断し整理できる1枚のワークシートだけでVE成果を求める方法で,施工準備段階でのVEテーマには適しており,試用によって効果も見えてきた。これを当社(空調設備業)のみならず他の建築設備分野での利用も考え,ここにその研究成果を紹介する。