論文カテゴリー: VEの適用局面 115件

産業用ロボットなどの「ものづくり」のための設備を供給する生産財メーカーにとって、製品企画活動における「新製品で実現すべき機能」、「販売価格」、「販売台数」などの設定は困難である。それは生産財メーカーの顧客は消費財を生産する消費財メーカーであり、間接的にしか市場変化を掴めないことや、質感、デザインなどの魅力機能の差別化が困難だからである。本論文は「新製品で実現すべき機能」とその決定方法について述べるものである。

とりわけ原価企画の概念を拡大し、製品企画活動及び製品企画準備活動まで範囲を拡大することにより、この「新製品で実現すべき機能」を絞り込んで決定する新しい視点を指摘し、従来の原価企画よりも総合的にとらえ展開するものである。

最近のグローバル環境の変化により、日本の大手企業はもとよりその国内の取引先の企業も苦しいビジネス環境におかれている。円高が進行する環境で、安価で急速に品質を向上させている海外の部品供給メーカに打ち勝つためには、自社の製品の価値向上を継続して図ることが必要である。筆者は、国内に取引先を持つ企業が、自社の製品の価値向上を図り競争力を向上させるためには、その企業と取引先の両者が協働型である共同VE活動を実施して共に利益を享受しながら、取引先の企業の技術が成長することがあるべき姿であると考えてきた。
しかし、共同VEは、両者にとってハイリターンである一方、技術流出というハイリスクの面をもつために情報を共有化して実行することが難しい。この論文では、このハイリスクの面を低減するための計画段階のプレVE活動の手順について提案するものである。なお、実際に提案した手順のプレVEを実施し、共同VEを実施したその効果を説明し、最後に今後の取引先との共同VEの適用分野について述べる。

高速道路は都市内道路網全体の交通処理能力を向上させ、お客様に安全・円滑・快適に利用していただくため、様々な管制用機器と運用ソフトウェアで体系的・効率的に構成された「交通管制システム」により道路の管理・運用支援を行っている。このシステムでは、システムの多様化・高度化に伴うリスク回避策として“バックアップシステム(以下・BUS)”が検討されている。ICT技術の急速な進展は、これまでの経験則では全く想定できない様々なリスクの脅威が存在することを認識しつつも、その全容と詳細および対処法が全く把握できていないのが現状である。そこで本論文では、未来志向的なリスク管理手法である、「逆転発想思考アプローチによる創造的リスク対策」手法を、高速道路管制システムのBUS計画案に対して導入し分析・検証を行った。その結果、実効性のあるリスク評価結果が得られ計画案の見直しを行うに至り、基本的にあらゆる製品・サービスのリスク対策手法としての有効性が示唆された。

新たに価値ある製品やサービスを考えだすための標準的VEWSSでは、改善想定金額の比較的大きなVE対象テーマであれば、機能的研究法であるVE実施手順を着実に実践することで価値向上やコストダウンの成果をあげ、投資倍率を10倍以上とすることも可能となる。しかし、改善想定金額の小さなVE対象テーマにおいて同様のステップで実施すると、得られる成果に対する投資倍率は低くなり、標準的VEWSS参加者のモチベーション低下になることが多々みられる。また、近年においてはスピードを要求される時代の流れと、生産性を高める視点から、少ない人員で他の管理技法も同時に実施する必要があり、小さなVE対象テーマにおいては、標準的VEWSSの考え方を遵守しながら必要最小限の手順と短時間で簡単にできる方法が求められている。現在、有効な成果が得られる短時間VE手法としては「3時間VE」「WAVE法」などがあるが、それぞれ一長一短がある。本論文では実証活動による有効性の検証をもとに、簡易型VE手法である2時間VEが広がりつつある現状を分析し、この手法が日本における簡易型VE手法の一つの型となり、より使いやすく長い間使用者に使用してもらえるようにするためにはどうすべきか述べるものである。

公共団体におけるVEの導入目的には、コスト縮減だけではなく、組織内の横連携強化や意思決定の迅速化などがある。その場合、VEは、企画段階にお ける意思決定ツールとしての活用効果を期待されている。そして、意思決定ツールとして活用するうえで、手軽にワークショップを行う方法についての要望は多 い。

公共事業の企画段階で意思決定ツールが必要とされる背景に、公共事業に求められるニーズが複雑化、多様化していることがあげられる。このことは、まちづくりや防災分野、環境分野など特に意思決定の過程が複雑な事業において顕著である。

筆者は、今後のVEの公共事業における展開を広げるために、これらの分野における活用方法を提供することが重要と考えている。

本 稿では、防災分野と環境分野の両面の要素を持つ事業を対象に、その企画段階において、意思決定ツールとしてVEを活用する場合の留意点やその効果について 考察し、工夫すべき点について検討し、実際にワークショップを行った例を紹介する。そして、この題材を通じて公共事業の企画段階へのVE の適用の可能性について述べる。

不具合事象の対策には、①不具合事象の把握、②要因解析、③改善策立案という原因追求型の問題解決プロセスがとられることが多い。いわゆるQC的問題解決プロセスである。

こ のプロセスの中心的な活動は、不具合の発生原因を想定し、それが真の原因かどうかを確認するという仮説・検証プロセスであり、この要因解析プロセスをいか に迅速かつ確実に実行できるかがポイントになる。つまり、設計時に気づかなかったような原因が仮説・検証されてこそ効果的な改善案の立案ができるわけであ り、そのためにはメンバーの思考を変革する必要がある。

一方、組織としての設計力を継続的に向上させていくためには、発生した不具合事象や その発生メカニズムの論理構造、およびその具体的対策方法などを設計知識として組織内に蓄積し、今後の設計やクレーム対策に役立てられるよう伝承していく 必要がある。いわゆる技術蓄積・技術伝承である。効果的に技術を伝承していくには、やみくもに情報を残せばいいというものではなく、再利用性に優れた形で 体系的に蓄積していく必要がある。

そこで本論文では、機能面からの視座を加えることによる原因追求の多観点化と、機能系統図上に整理された設計知識の再利用性に着目し、不具合対策プロセスに機能本位の思考を取り入れることで、

① 具体化過程で発生した不具合事象の迅速かつ確実な改善案立案

② 不具合知識の機能系統図上への蓄積

を実現する不具合対策プロセスを提案する。

建築工事におけるVE検討は、設計・入札・見積・調達・施工の各段階で企業にとっての受注拡大や利益確保のために実施されている。しかしながら、検討時間の制約があることとVE検討メンバーの意識高揚を促す方法が未確立のために、大胆なアイデア発想の転換ができず、総花的なCR案の提示か仕様の変更提案に終始してしまい、顧客や設計事務所から不信感を持たれる場合が散見されている。VEが目指す抜本的な代替案の提案を生み出すためには、発想の転換が図れるアイデア発想方法の開発が必要となってくる。

ここでは、施工法に関する問題点の反転置換機能を改善着眼点・目標に設定し、それら

を強制的に組み合わせてアイデア発想する新しい方法を提案する。この発想方法を試行したところ、施工フローを入れ替えるという今までにないアイデアが発想されて、大幅な省力化と工期短縮が図れたことで、高い効果が期待できるアイデア発想方法であると確信している。

公共事業に対する国民の批判や不信感は、相変わらず根強い。この原因として、地域の人々のニーズを十分にくみ取ることができないことや、計画策定手順が不透明になりやすいことなどがあげられる。

そこで「県民が何を必要としているのか」「使用者が求めているのは何か」を把握し、「公共事業が見えるようにする」ため、計画の早い段階から住民の意見を聞きながら計画を策定する県民参画が、公共事業の現場で、導入されている。

一方、国や地方公共団体で、公共事業の設計段階におけるVE(以下「設計VE」という)が導入されている。設計VEの導入目的は、地域のニーズに応じた設計、使用者の立場に立った設計など、公共事業をよりやすく、より価値の高いものとして提供していくことにある。

本論文は、「機能」という言葉で、「県民参画」と「設計VE」を結びつけ、地域住民が求めていることを事業の設計に反映する手法を紹介する。

最近各企業では収益性の向上と競争優位性を確保するため、製品の価値創造と平行してサプライチェーンの競争力強化が進められ始めており、今後、VEを用いてサプライチェーンの価値創造が活発に進められるはずである。そこで本論文は、サプライチェーンの価値向上を図るVEを効果的に実施するためのアイデア評価方法を提案するものである。

従来は、サプライチェーンの価値向上のために発想した資金投入期間を短縮するアイデアについては、その効果を定量的に評価することができなかった。そのため、アイデアの具体化の段階で機能とコスト両面からの達成度を高めた代替案までに洗練化することがむずかしかった。そこで本論文では、発想したアイデアの資金投入期間減少効果を時間短縮として評価するのではなく、Jコストの考え方を用いることによりJコストの減少量に変換することで機能とコスト両面の評価を効果的に実施することを提案する。

人口減少時代への突入、少子高齢化の進展、地域間競争の激化など社会情勢が大きく変化しているなかで、道路、河川、都市計画等の社会資本整備のあり方が問われている。

そのような状況のなか、2009年9月には「コンクリートから人へ」をキャッチフレーズに、民主党政権が誕生し、公共事業予算も大幅に削減された。

国や地方公共団体では、公共事業の設計段階におけるVE(以下「設計VE」という)が導入されているが、効率的な社会資本整備を行うためには、改善効果が大きく、設計段階よりも上流側にある、企画段階、開発設計段階でのVE手法の導入が必要である。

本論文では、公共事業の企画段階、開発設計段階に相当する、社会資本整備(公共事業)を実施していく上での指針である「社会資本整備基本計画」の策定にVE手法を適用することの効果と、その手法について紹介する。