論文カテゴリー: VEの適用局面 115件

本研究は、原価企画の支援業務を改善するために、VEの5原則から原価企画の支援業務に対する受援者側の視点と切り口を決め、改善に必要な機能を抽出する方法を提案し、その有効性を明らかにするものである。要旨の第一は、原価企画の支援業務に対する改善視点の重要性を明確に述べた。第二は、この受援者の視点と切り口を三つのマトリックスにまとめ、機能抽出する方法を提案した。その受援者の視点は、支援者本人の立場と支援業務を評価する立場である。改善の切り口は三つである。一つには、順機能からの機能抽出、二つには、逆機能・実際認識からの機能抽出、三つには、要望からの機能抽出である。最後に、これらが原価企画の支援業務の改善に効果的であることを明らかにする。

製品の外観を良くするためには、魅力機能として取り扱い、顧客要求や顧客満足度を指標に計画が進められる。一方、土木事業で扱う景観には、建造物の外観だけではなく、すでにそこに存在する自然や他の建築物の外観が含まれている。景観検討では、周辺環境との調和や強調といった概念が必要となる。

我が国では2004年に景観法(景観緑三法)が制定され、良好な景観の形成を促進するための仕組みづくりが進められてきた。しかし、具体的なアプローチ方法までは示されておらず、景観検討には担当者の感性やデザイナーの美的センスに頼らざるを得ないのが現状である。当初のイメージを具体的な形とし良い景観を創出するまでには、関係者の努力と多くの時間が投入される。

筆者は、景観検討の精度向上と効率化を目的に景観検討の手順にVEを取り入れた検討を行い、具体例によりその効果を検証した。本稿では、その手順、考え方、手法について具体例とともに示す。そして、景観検討へのVE適用の効果を明らかにするとともに、今後VEを用いた景観検討の方向性を示すものである。

公共事業における設計段階は長期間にわたるうえ、意志決定のプロセスが複雑であり、製造分野でのVEをそのまま適用することが困難とされてきた。また、VE対象が単品生産であり個別性が強いことから、VEを公共事業へ適用するには、個別の対象テーマに応じて検討の方法をその都度工夫することが必要とされてきた。

同一の対象テーマであっても適用の目的や適用段階が変われば、実施手順の各ステップにおける検討の方法やテクニックも柔軟に変える必要がある。しかし、多種多様な事業がある公共事業において、適切に検討の方法を選択することは容易ではない。

本稿では、検討方法の選択を容易にし、設計VEによる効果を高めることを目的に、検討の方法について定型化を提唱するものである。本文中では、この定型化した検討の方法を、スタイルと表現している。

現在、公共事業では設計VEは事業の進捗段階や事業種別に応じて分類されている。

本稿では、定型化の観点から、対象事業を改善するレベルや改善の方向性に応じて分類することが適切と考え、この考え方に基づく5つの基本スタイルを提唱する。また、改善の方向性の概念として、3つの方向性について説明する。

最後に、特に適用方法に工夫が必要となるデザイン・レビュー型、開発設計型について事例と共に留意点を詳述する。

なお、本稿では、公共事業における設計VEについて取り扱っている。よって本文で扱う設計VEとは、公共事業における設計段階に適用するVEである。

公共事業では、計画、設計の段階で事業費を算出する。そして、その事業費をもとに事業が管理される。事業の凍結や停止も、この事業費を利用している。

しかし、設計の時点で算出した事業費が、最後まで変わらないことはほとんどない。なぜ、毎回事業費の修正をしなければならないのか。その理由は、「事業費はたった1つしかない」という幻想を信じているからである。本来、まだ起こっていない未来の費用を、完璧に見積もることは不可能である。

そこで、重要なのがリスクの概念である。リスクを設計に盛り込み、より最適な改善案を引き出すための新たな手法「コスト・リスク・マネジメント」を提案する。

公共事業は、経済活動と国民生活を支える社会的使命を担っている。しかし、限られた財源と長い事業期間は、大きな課題となっている。コストを削減する技術は多くが提案されてきたが、整備を早める技術があまり提案されていない。

そこで、公共事業の整備に関わる各段階において、それぞれに実践的対策法を提案する。すなわち、合意形成を早める実践的対策法、工期を評価する実践的対策法、機能発現を早める実践的対策法である。

合意形成を早める実践的対策法では、3つの共同VEの提案を行っている。工期を評価する実践的対策法では、コストと工期を同時に評価できる多指標評価法の活用を提案している。そして、機能発現を早める実践的対策法では、段階整備の考え方と各段階における価値分析を判断するプロセスコントロール図法を提案している。

これらのテクニックが全ての公共事業に活用され、国民、県民の満足度の高い社会資本が適切なタイミングで提供されていくことを願っている。

個々の事業の改善から、公共経営としての取り組みの必要性が問われている。

特に、設計VEの効果が実証されている昨今に置いては、さらに進めたVM(バリュー・マネジメント)としての導入と運営が不可欠であると考える。事業をVEにより改善する時代から、社会基盤をVMによりマネジメントする時代へと移ることが大切である。

VMに必要な要素は、筆者の複数のVM導入の実績から、4つに集約された。つまり、この4つの要素さえ整えれば、VMの導入をはじめることができる。そして、そのバランスを常に保つことが、失速しない秘訣である。

さらに、VEの効果を最大限に引き出すテクニックについて、ファンクショナル・アプローチ、VEインセンティブ、ファシリテーション・スキルアップの3つを取り上げ、原点に立ち返った考え方や具体的な内容を紹介する。

土木事業へのVE導入は展開する時期にかかろうとしている。VE導入の基本であるVEの基礎つくりも年々発注者をはじめ各階層で普及されつつあると思われる。

しかし、複雑な構図を持っている土木事業は、もっと明確的なスタンスで取り組まないとVEの定着・普及が難しいことは否めない事実である。これらの特徴を汲み上げながら土木事業にVEを植えつけるには事業にマッチしたVE活用法が求められていると思われる。

本論文はまず土木事業のVE展開の基礎つくりを論ずる。つぎは土木事業のVE活用の課題を抽出する。そのつぎはVE活用課題の解決策を考察し、提案する。

鉄道はさまざまな要素技術から構成される労働集約産業であり、相互に綿密に関連し合う要素技術を分解すると、さまざまな業態の集合体といえる。これらの各分野に「いかにVEを適用するか」「どのように活性化するか」について検討・実践してきた結果、鉄道業に適したVEを展開し、成果も毎年創出するに至った。

そこで、VE展開方法を他業種(製造業など)と比較検討し、輸送サービス業におけるVEの考え方とVE展開の特徴を述べる。

政府、地方自治体では財政面での逼迫を受けて、公共事業のコスト縮減施策や価値向上対策の一環としてVEの取り組みが活発な動きをみせている。公共VEは事業予算の有効活用と納税者、利用者に満足感を与える画期的な手法であるが、成果を生み出すためには運営体制の確実な整備と個別プロジェクト単位での推進マネジメントが重要な鍵となる。本論文では、地方自治体でのVE導入と個別プロジェクトの本格的なVEワークショップでの活動実績を踏まえ、公共VEが成果をあげるための課題を明らかにし、その解決策を示す。

これまで公共事業では、社会経済の高度成長期にあって、整備目標に向かって求められる施設を早く大量に作ることが求められてきた。そして高度成長期が終わり、多くの公共施設が整備された今、求められているものは「良い公共施設から得られる良いサービスの維持」である。また、豊かになった社会は多様なニーズを生み、公共施設には新しい価値が求められている。

このような価値観の変化に柔軟に対応しサービスを維持しつづけるために、公共事業ではこれまでの施設の維持管理システムを見直し、新たな施設の維持管理システムを構築することが緊喫の課題となっている。

本稿は、公共施設の維持管理システムを構築するうえでVEを適用することが有効であることを明らかにするものである。そして、システムを構築するうえで重要な視点となる「整備水準の設定」「VEを適用した資産価値の評価」「ワークショップによる維持管理システムの構築手法」について示し、これらにVEを適用することにより得られる効果について具体的に述べる。