論文カテゴリー: VEテクニック 207件

GE社に端を発する購買を中心としたVEは,製品や部品(Product or Parts :これを第1のPとする…P1)に適用され,著るしい効果をあげつつ今日に至っている。わが国においても同様,そのめざましい発展は,昭和46年7月現在で,約3,500人のバリュー・エンジニアを育成するに至った。しかし,VEのもつ独特な機能展開の方法が,単に製品や部品,つまり"物"にのみ限定されるとは考えられない。当然,適用の範囲を拡大すべく,その応用研究は,電子回路,建築,あるいは装置へと発展した。しかし,それは単に対象が復雑になっただけで,やはり"物"の域を脱しないものである。"物"をとりまく工場の仕組みは"物の流れ","情報の流れ"を必要とする。従ってP1を中心に120度方向を変えた応用は,工程(Process:これを第2のPとする……P2)への適用である。さらに,120度方向を変えた応用は,手続き(Procedure:これを第3のPとする……P3)への適用である。

年々激しさを増す商戦の中において,わが社のステレオ開発部門も"より良いものをより安く"ユーザーに提供することをモットーに,日々開発を行なっておる訳であるが,その目標を達成するのに有効な手段のーつとして,VEが導入されてから久しいものがある。当社においても,初めは外注部門のコストダウン手法として,VEを導入したのであるが,外注部門の性質上,既存部品のコストダウンということであり,製造工程の改良とか,材料取りの合理化,あるいは外注メーカーの経営合理化指導といったものが中心であり,設計の根本にまでさかのぼる 1st LookのVEは,まれであった。この外注部門での2nd Lookも,それなりに効果は認められるところであるのはもちろんであるが,やはり既存部品の部分改良という範囲に留まらざるを得ないため,一つの限界があった。しかし,ここ数年のメーカ一間のシェア争いは,激化の一途をたどる一方であり,より効果の大きい,より根本的なコスト低減の対策を,メーカーとして考えねばならぬということで,わが社においては,VEを設計段階に適用すべく,ここ数年全社的努力を重ねている次第である。

思考活動は,その過程で省略があっても,製造活動と異なり,実態が目にみえないので,不良を発見することがむづかしい。そこで,思考の省略を防ぐために,詳細な思考の手順を設定することが必要になる。

VEが大きな成果を納めているのは,機能中心の思考もさることながら,思考の過程に一応の手順が設定されていることも,重要な要因であると考えられる。

ところが,現状ではVE活動の手順は,まだ充分であるとはいえない。特に後半の代替案作成過程は,前半の機能定義,機能評価の過程に比べて,手順とテクニックが不明確であり,優れた代替案を漏らしたり,代替案の洗練化の効率が悪かったりする危険性がある。

したがって,本論文では,優れた代替案を効率的に作成するために,詳細な手順とテクニックを設定して,代替案作成過程を充分な構造化することを目的とする。

必要機能を,最低コストでえようとするVE活動の中に,ある種の沈滞ムードが漂い始めている。VEの導入当初の活動はめざましく,その成果も大きかった。その結果,VE思想が広く普及したことは,産業界にとって,誠に喜こばしいことである。しかし,より高度なものへの発展の突破口が手近かにないため,堂々廻り的活動を余儀なくされているのが,実状であろう。また,VEは理論ではなく,活動であるといわれる通り,その活動範囲は膨大であり,情報収集などは,それだけで企業が成り立つ時代でもある。これに,一つのVEグループが対処するとなると,その活動に,自から限度を生ずる。特に,委員会制度をとっている場合は,極めて断片的活動に終始せざるを得なくなるであろう。したがって,VE対象の選定段階において,部品的要素を取り上げがちになる。

部品の機能と徹底的に分析し,その部品としてのVE結果が,機械の一部として組込まれ,予期しない結果になることもある。これは,組立てた時,初めて生ずる二次機械や条件に,見落しがあったからであり,情報収集の不足,機能分析の不徹底,テスト証明の不備不足などが指摘される。VEの理論上は,このようなことはありえないという反省にもとずき,次の活動を始める。

機械としての基本機能に附随する多くの2次機能や,条件,要素などの複雑な結びつきと合理的に分析するには,どうしたら良いかを研究することが必要であろう。

この論文は,基本機能を抽出するのではなく,できるだけ多くの2次機能や要素と付随させ,それらに,どのようにコスト配分をすれば,商品として良い製品になるかを研究したものである。

多くの企業が. VEと取り組んで,ほぼ,10年になるが,その間のVEの発展には,目覚ましいものがある。日本にVEが導入された当初は,製品の製造段階での適用を狙った購買関係の技法(PE)として展開された。しかし,今や,製品化前の設計段階,あるいは開発段階での適用がなされ,資源の有効活用のため,システムの価値追求を狙う考え方,技法として重要な地位を築きつつある。

このように,VEの体系化は,もち論のこと,その各技法としての機能的研究,また,創造性開発の技法にも,著るしい発展が見られる。

しかしながら,各技法が専門化して,高度化すればする程,相互関係の理解が乏しくなり,VEの正しい理解と効果的な適用が難しくなってくる。

その例として,企業でVEを進めて行く途上,しばしば,次のような一見,単純で,その実,非常に重要な質問に出くわすことがある。

「われわれは,何故,機能的追求をする必要があるのか?」

「創造技法は,本当に役立つのか?」

「私は,長年,設計業務に携わって来たが,何もそんな事をしなくても,設計は出来た。」

以上のような種類の質問である。しかも,この種の質問をする彼等は,一応,機能的追求の技法,また,創造性開発の技法も知っているのである。

結局,彼等はVEの正しい理解と,各技法間の関係が理解されていないため,VE適用の効果的方法を知らないのである。

以上の事柄をまとめてみると,次の二点がVEの現在の問題点としてあげられる。

1. システムの価値を追求するためのVEの考え方が理解されていない。

2. 創造性との関係においての機能的追求の重要性と有効性が理解されていない。

私は,この論文において,上記の2点に焦点を絞り考察を加え,これに関する実例を紹介し,実証づけるものである。この論文が,VEに携わっている多くの人々とVE発展のために一助となれば幸いである。

VE実施計画における機能評価の段階は,VE活動の思考展開を特徴ずける重要な過程であると考がえられる。機能を評価することの目的は,つぎの3項に要約される。

①改善目標の設定,②低価値機能分野の確認,③改善活動への動機付け。

しかし,機能評価に対する一般的理解は,①にのみ重点がおかれ,②,③に対する理解は極めて薄い。もともと,機能評価は革新を予測することであるから,絶対的達成目標を設定することは,困難なことである。厳密にいえば,それは永久にみつからないかもしれない。なぜならば,絶対目標の設定が,機能評価によってなされるとするならば,そこには,すでに機能達成の代替となる具体的設計が裏付けされることとなり,未知への挑戦としての目標の意味が失なわれてしまうからである。したがって,機能評価による目標設定は,改善能力を,どれだけの確度で予測し得るかに期待がかけられているのである。こうした技術予測の研究は,未来学研究の一課題として盛んに思索されている。たとえば,OECD科学技術顧問,エーリッヒ・ヤンツの分類による直感的手法,フィードバック手法,探索的手法,規範的手法などがあり,ランド研究所によるデルフィ一法は,かなり有力な方法として利用されている。しかしいづれの方法も,目下のところ確度の高い,きめ手になるようなものは見当らず,いわば,あいまいな形で予測せざるを得ないのが実状である。VEにおいても,各種の方法が提示されてはいるが,同様である。それがためにVEにおいては,機能を評価すること自体,意味のないものとしてしまう傾向がある。極端にいえば,まったく省略されてしまっているともいえる。機能評価を目標の設定ということにのみ主眼をおくとするならば,それも,やむを得ぬことかもしれない。しかし,評価活動の本意は,その結果である評価値(改善達成目標の設定)そのものを得ることもさることながら,それ以外に,その過程にこそ,システム設計上の基本的姿勢が認められ,改善行動の動機を得ていくところにあるといえる。したがって,機能の評価を改善目標の設定のみ,その意義を認めるといった考がえかたは,価値保証活動推進上の大きな支障とならざるを得ない。この問題を解決するためには,機能評価活動の意図するところの正当な理解と,より現実的な評価テクニックの開発が期得される。そこで,本論では,問題解決への一手法として,機能レベルの把握による評価方式を,仕様変更の方向性の予測を交えて,これまで各企業で試行してきた結果を中心として,まとめるものである。

市場における国際的な企業間競争の激化,技術革新の飛躍的な進展,労働力不足など,今日,企業における最大の課題は,情勢に対応して,リーダシップがとれるように,企業体質を改革強化しておくことが重要である。

すなわち,企業の永続的発展のためには,新製品の開発を中心に生産性の向上,コストダウンおよび安定し,かつ,より適切な製品品質による利益の確保が,絶対的条件であり,そのために激しい企業間競争の背景のもとにあって,日々革新の連続が成されなければならない。

とくに開発に結びつく機能アップとコストダウンの問題については,企業規模が拡大すればする程,単なる一部門の活動のみならず,企業内全機能,全部門が機能に対する革新的な考え方をもった一元性のもとに,トータルコストとしての低減をねらいに,より機能向上された製品を,ユーザに供給してゆくことが重要である。

このような考え方にたって,昭和41年度より,従来資材・購買部門中心に取組まれてきたVE活動を,QC,IEとともに事業本部の管理技術の3本柱として,新たな設計中心のVEの導入普及をはかり,今日までVE教育を中心に,そのフォローアップを実践活動に結びつける方式をもって展開し,人材の育成と成果への貢献をはかってきた。

本報告は,こうした活動経過を基礎に,更に1歩,VE活動の着実な普及をはかるために,VE活動を経営に有効な武器としてIE,QCとの融合の下に,広く総合的に経営活動における価値向上のためのプログラムとして,そのトータルシステムを確立,適用,実効をあげることの必要性から,当事業本部管理技術計画重点プロゼクトとして,昨年より,当本部VE専門研究会(能大VEワークショップを終了し社内講師VEプロゼクトメンバーとして経験の深い者7名で構成)を軸に,事業部技術部門との連携の下に,経営活動の一元化を指向したVE手順の研究,適用,試行を行ない,その効果について確認がはかれたので,ここにまとめ,ご指導をお願いする次第である。