論文カテゴリー: VEテクニック 216件

低経済成長下の企業経営にとって,VEに寄せる期待は大きい。また,多くの企業で,VEは着実に成果を上げてきている。VE適用分野についても,現製品VEから新製品VEへ,さらに,ハードVEからソフト面のVEへと,拡大してきている。

VE手法面の開発,改善についても,業種あるいは企業にマッチした形で進んでいるように見うけられる。

一方,VE投資効率の観点から,VE活動体制はどうか,VE対象の取り上げ方は適切か,という反省もある。

当社では,建設業の特性を生かし,作業所中心のVE活動を長年にわたり,一貫して展開してきた。

現在,設計VE,設備VE,あるいは事務VEと適用範囲は拡大しているが,経営の基盤を作業所におく建設業にとって,今後もVE活動の中軸を作業所におくことはまちがいない。

建設現場の汗と英知を結集して実施されたVE事例は,数多く収集されている。こうしたVE情報は整備され,新しい工事に際して繰返しVEや,改善のヒントに供するよう,組織的な展開をはかっていることは,第11回論文(工事管理におけるVEのシステム的展開)で述べたところである。

近年,VE事例は飛躍的に増大しているが,その最大の要因は,作業所VE活動における「VE計画」の徹底によるものである。

本論文では,作業所におけるVE計画の重要性を述べ,ついで,VE計画をいかに行うか,VE対象の選定をいかにするか,について述べるものである。

日立電子(株)におけるVAは,テレビ放送装置・ビデオ関連装置・無線通信装置等の製品VAや製造VAが,ほとんどであった。今回,ビジコンの製造VAを行うにあたり

1. 工程が28工程にも分かれており,しかも大半の工程がクリーンルーム内の作業である。

2. 半導体の前工程と同様の微細加工を伴い,各工程毎に歩留りがあり,この歩留りが全体の歩留りに大きく影響を与えている。

などで,従来のVAとは趣を異にしていることがわかった。

本VAでは,工程の流れ・つなぎの改善に重点をおく必要があったので,種々,検討を加え,以下に述べるプロセスVA手法を開発適用して,好結果を得ることができた。

私達,企業を取巻く現在の経済環境は,数年前と大幅に異なり,製品の多様化が進み,かつ量の増大があまり期待できない低成長時代になってきている。このような状況は,図-1のようなディーゼルエシジシを生産する当小山工場においても同様で,従来通りの業務の進め方および手法では,思うようなコスト低減が困難になってきた。

そこで,今後は,このような状況の変化に対応した現状打破の手法が必要になった。

そして今回,発想を転換しVE手法を活用した工程設計および改善活動を,エンジンのメインパーツであるシリシダーブロックの加工ラインにおいて試行した。

また,このステップの標準化も検討したので,その内容について以下で述べる。

激動する経済環境の中で,企業は体質改善と新規発展のため,いろいろの努力を行っているが,その中で,近年とくに成果をあげてきたのがVE技法である。

購買部門からスタートしたVE技法が,現在では,本流の設計部門や製造部門で活用され,さらに営業・業務などの間接部門にまで展開されている。

このように,対象部門や対象テーマが多様化してくると,VE技法にもいくつかの問題点が生じてくる。これに対して各社各様の改善手法が発表されているのは,大いに結構であるが,価値工学としての基本的理念が不透明のまま,手順や手法にたよりすぎる場合も見受けられる。

VEの発展と向上のためには,一つには,多くの企業で多くの人に理解されやすく,使いやすい方法として改善してゆかねばならぬが,その反面では,価値工学としての基本理念が,多くの対象テーマの問題解決に適用できよう。技法レベルの向上に努力する必要がある。

本文では,後者の立場から価値工学の向上のための問題点と,その解決法を述べる。

この論文は,先に発表された「ステップリスト・マネジメントの方法」(1976年度VE大会論文集に記載)の考え方を利用して,DESIGN-TO-COSTの方法を新しく手順化すると同時に,その中で使われる「VE手法」をいくつかの形に変化させ,短時間でかつシステマティックにそれを進めることができるようにしたものです。

低成長時代を迎え,家電音響製品は,ますます市場競争が激しくなり,さらに最近の石油関連資材を中心とする,材料費の高騰は収益を悪化させつつある。一方,市場のニーズにより製品はますます多様化の一途をたどっている。

これらの傾向は開発機種の数を増加させ,収益確保のために多くの機種の製品VAが要求されるようになる。VA活動は企業の置かれた環境とニーズにそったものでなければならない。

今回,家電音響製品における開発生産形態の中での,企業のニーズに合わせた製品VAのあり方について効率的な分析形態を中心に述べてみたい。

VEが我が国に導入されて以来,この思考法は色々な環境の中で,企業経営における利益確保の柱として大きく成長した。この間に,VE技法そのものもより大きな成果を得るために,VE手順の改善とか,新しい分野に適用する新技法の開発等,長足の進歩を遂げてきた。

しかし,このような努力にもかかわらず,VE活動によって獲得される成果は,初期の導入段階で得られたものに比較して,次第に減少の傾向にあるのも事実である。

本論文は,特定のプロジェクトについて,数回のVE-TFP活動を繰り返して実施した結果の資料に基づき,本当に「VEは無限である」のか……を検討したものである。その結果,VE活動の成果を示すVE率は,1つの曲線の近似式によって低減することが判明した。この曲線の性質は,今後多くの事実データによって裏付けられる性質のものであるが,「VEは無限である」ことを示唆している。また,この近似式によって最初の第1回目のVE活動によるVE率から2回目以降におけるVE活動の目標額の大枠設定が可能となる。

更に,本論文はこれら一連のTFP活動の追跡調査により,この曲線の性質を究明しこれと現在活用されている各種発想技法から,VE活動の発想段階における実践上の具体的な方法をパターン化した。この方法の有効性は,多くのプロジェクトによる実践活動において証明されているので,本論文は今後のVE活動における参考の資料とするものである。

昨今の企業を取り巻く環境は,円高ドル安,国内外の景気不振と,ますますの厳しさを迎え,企業の総合的な体質改善を余儀なくされている。また市場競争の形態からみても,ほとんどの商品群が成長期から爛熟期へと移行し,コスト,品質,技術等の膠着化による,デザイン競争の感が,より顕著となり,デザイン部門に対する,価値ある商品デザインが切望されている。

また,こうした中で,当社VE活動の重点を,商品,部品に対するハードVEと,製造部門や間接部門を中心とした,仕事の作業の進め方のVE,いわゆるソフトVEとの,トータル的VE活動展開による,価値ある仕事の進め方を基本思想とした,新しい商品づくりを志向している。

しかしながら,感覚的な要素が重大な意味をもつデザイン活動と,価値,機能を重要視し現象をクールに分析把握しようとするVE活動とは,相反する要素を含んでいるために,水と油的印象を与える。しかも,機能(F)を一定にして部品コスト(C)を下げるという,ハードVEの影響を受け,デザイン(外観コスト)に対する価値評価が正確に把握されていないことと相互して,VEによるコストダウン会議では,常にデザイン面が"いけにえ"にされていた時期があり,デザイナーはVE活動を反目敬遠するようになり,VEを正しく理解する機会を逸していたが,新しい仕事への脱皮を迫られる今日,VEというクールなフィルターを通して,デザイン業務全体の体質改善,およびデザイナーの意識改革を目標とし,手仕事的な作業を省力化することにより,デザイン本来の機能である,発想部分に重点をおいた,デザインプロセスを展開し,将来の状況を予測し,それを描くことのできるという,デザイン独自の秘法と信用を,確保することを目的としなければならない。

当社では昭和47年に産業能率短期大学のご指導により,VE実践セミナーを開催以来,従来の管理技術の主流であった「IE」,「QC」,に「VE」を含めた三本柱で,生産活動の合理化・管理技術の向上を推進してきた。

その間,推進組織の変遷や,ポリシーの変化により,個々の事業場での進歩状況は,一定の伸びを示してはいないが,全体としては,着実に定着・発展しつつある。

しかしながら,商品ライフの短縮傾向をはじめとし,VE活動をとりまく環境の変化とVE活動の活発化により,次のような新たな問題が発生してきた。

<改善の質的内容の変化>

(1) VE改善の繰返し実施による投資効率の逓減。

(2) 多品種少量生産による改善効率の低下。

(3) 取組メンバーの拡大による改善案の多様化。

(4) 標準化推進活動とVE活動の競合。

一方,VE提案の採否判定については,商品ライフの短縮化の傾向の中で多様化する改善案に対して,機会損失を防ぐ意味から,早急な決断が必要とされている。

そこで,これ等の問題に対処するべくVE提案の損益分岐点を明確にすると共に,その判断基準の確立を目指した。

「高度成長時代から低成長時代へ」と,経済の構造的変動に伴い,企業は経営体質の強化を迫られている。このような状勢下にあって,VEの果している役割は大きく,より広範なVE活動の要望がなされている。この要望に応えるためには,企業内のVE活動を,さらに定着化し,普遍,発展させていく必要がある。

当社では,その一環として,"利益の宝庫"である製造現場にVEを導入することにより,沈滞ムード気味の小集団活動をRefleshし,経営体質の強化の一担い手として,VE小集団活動を推進してきた。(われわれは,このVE小集団を「VE New Power」と称している)

本論文では,このVE小集団活動を推進するための新しいVE手法を紹介するとともに,VE小集団組織,フォロ一体制およびVE小集団活動の今後の問題点などについて述べている。