論文カテゴリー: VEテクニック 207件

VE実践活動において、基本ステップ「代替案作成」の詳細ステップ「詳細評価」については、『新・VEの基本』1)によると「技術性の詳細評価」と「経済性の詳細評価」で評価することになっている。複数案作成された提案について「技術性」と「経済性」の二面から評価することは、提案の実効性を評価する重要なステップであり、科学的な意思決定が必要とされる。しかし、VEプロジェクトの置かれた制約条件を多面的に分析し、将来のリスクを含めた適切な詳細評価をすることは、従来の詳細評価では困難であった。

そこで本論文では、『新・VEの基本』や過去のVE研究資料、VE事例等から詳細評価の内容を精査し、その改善策として従来の詳細評価に『新・管理者の判断力』2)で紹介された「ケプナー・トリゴープログラム」(以下、KT法という)を組み合せて評価する方法を提案するとともに、事例による有効性の検証結果を報告する。

製品やサービスの開発や改善活動において価値ある代替案を創出するには多くのアイデアを出すことが重要とされている。VE実施手順のアイデア発想ステップでは発散思考し、その後の具体化ステップでは収束思考することで効率的に代替案を生み出す。発散思考時には多くのアイデアを発想するが、このときの「多くの」とは単純にアイデア数が多いことを指すのではなく様々な意味が含まれている。本論文は「多い」の意味のうちアイデア数と多様性を考慮して、発想されたアイデアのアイデア量を評価する方法を提案するものである。アイデア発想ステップで創出されたアイデアを分類し、カテゴリ数とアイデア数およびエントロピー(平均情報量)からアイデアの多様性を数値化してアイデア量として定義し、ケーススタディーで評価式の評価を行った。

公共工事において総合評価方式が増加している。落札するためには、発注者ニーズを的確にとらえ差別化した技術提案により、高い技術評価点を獲得することが必要である。
今回は「開発のVE」を利用して、発注者ニーズを機能に置換し整理することにより真の発注者ニーズを把握し、差別化した技術提案を作成する方法を紹介する。

多くの企業において、VE活動を通してコスト削減の実績を上げている一方で、既存のVEの手法だけではコスト削減に限界を感じている場合も多い。そこで、さらなるコスト削減を実現するため、VEとTRIZを組み合わせた新たなコスト削減手法を提案する。
本研究では、コスト削減活動の過程で度々遭遇する二律背反的な技術的問題の解決手段として、TRIZにおける技術的矛盾解決方法に着目し、新たに「コスト削減のための技術的矛盾マトリックス」を提案した。そして、その有効性をロータリー式電気シェーバーにおけるコスト削減事例により確認した。

これまで、公共事業VEで一般的に使われた機能分析法は、製品VEと同様に事業単独の構成要素だけを対象としたものであった。
しかし、公共事業の機能は自己完結型で成立するものではない。それが整備される場所や地域社会との相関関係の中で果すべき機能が定義される必要がある。これからの公共事業に必要な機能は、地域社会という大きなシステムとの相関関係で定義される必要がある。
したがって、機能を定義することは、複数のシステム間に相互に働く影響力を評価することである。その場合、公共事業の構成も複数の手段機能によって構築されたシステムと考える。
また、機能の相互作用によって「有益な働き」と「有害な働き」が発生する。この二つの働きを探索することにより、従来の機能の定義では把握できなかった問題点が発見できる。そして、「有益な働き」はさらに拡大し、「有害な働き」はできる限り減少させることが、使用者の満足度向上につながる。
さらに、複数のシステム間に相互に働く「影響力」は常に一定に作用するものではなく、時間の経過や利用状態の変動に伴って変化するものである。社会資本が長期間に亘って機能するためには、変化に対応して柔軟に対応できる仕組みが必要である。

多くの製品は競争優位性を確保するため、多数のバリエーションを有していることが多い。そのような製品をシリーズ開発する際での設計構想段階にて、多数の バリエーションに対して有効に共通化できる部品モジュールを開発し、それを製品の各目標Q(品質)、C(コスト)、F(機能)、D(納期)を満足させるよ うに、最適なモジュール展開構想を実施することは非常に重要であることは言うまでもないが、今まで具体的な手法がなかった。本論文ではテアダウンの手法を 活用し、モジュール展開構想の見える化、比較分析を行い自社の開発製品に対していい所取りを行う、具体的な手法について提案する。

『VEハンドブック』の7.3.1(P.355)(注)で紹介されているとおり、サービス領域での管理・間接業務や、2時間VEなどの短時間VEでは、現状の問題から機能を定義し、アイデア発想を行う手法が広く利用されている。

現状の問題は、改善活動を行う上で大きな動機の一つとなるため、この方法はチームメンバーの参画意欲の維持や向上という点等においてすぐれた手法である。

しかし、従来からの「問題点反転法」や、不具合を原因と結果で表現した「問題点系統図」を利用したVE活動において、VE本来の実質的な機能定義が行われない状況が少なからず生じている。

本論では、問題から機能を定義する場合に、従来からの利点を残したまま、VE本来の実質的な機能定義を行う方法を考案することを目的とした。

まず、VEの対象となる製品やサービスの問題とは何かを定義し、問題をいくつかの形態に分類した。そのうえで、問題の形態ごとに機能の定義の方法を提示した。

次に、従来からのVE実施手順に沿って、問題から機能を定義する場合の手順を提示し、最後に例題形式で機能の定義、機能の整理の方法を通して提示した。

全体を通して、VEの定義やVE実施手順と慎重に照らし合わせながら、本論で解説した、問題からの機能定義の方法が、VEとしての要件を満たすことを証明することに注力している。

VEは、価値向上を改善の目的とする優れた方法論である。より多くの経営者に理解され、より広い領域に適用され、より大きな効果を創造するために は、価値向上の効果を目に見える形で示したい。そのためには、定性的な表現や精神論ではなく、定量的で具体論とするべきである。特に、機能(F)の変動を 伴う価値向上時が、とりわけ困難である。

そこで、本論では、あらゆる価値向上のパターンに適用でき、その経済効果を厳密に計算する式を提案する。この式により、これまで、提案者の説明力と被提案者の理解力に依存していたものが、客観的に表現されるようになる。

さらに、価値(V)による判断を補完する新しい指標として、パワー(P)を提案する。FとCから計算されるPは、Vと共に用いることで、さらに経営判断を助けるものとなる。価値の概念がより強調され、経営の進むべき方向と力の掛け具合が明確になる。

全編をとおして、筆者が特に伝えたいことは、VEをコスト削減のためだけに使うのではなく、あらゆる価値向上に活かしていこうということである。

社会インフラへの投資は、現在の社会活動のためだけではない。次の社会を支える未来の世代のための資産をつくり、それを継承することである。我々がこれまでに整備した社会インフラは、物を残すことではなく、必要とされる「機能」を未来に残すことが本質的な目的である。

社会インフラ整備におけるVE検討は、工業製品などと同様に基本的な実施手順に忠実に行われてきた。しかし、製品と社会インフラには決定的な相違点があることに留意しなければならない。それは単独で機能するか、複合で機能するかの違いである。

これからは既成の学問分野の狭い領域の中で問題解決を図るのではなく、一つの問題についても、複数の要素が関係する「社会システム」という枠組みの中で捉える必要がある。社会を構成するあらゆる要素を「機能」という評価軸で横断的につなぐ能力が問われている。

これからの社会は、SNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)などの進展によって、益々、複雑さを増して行くと考えられる。社会全体の価値観が多様化する時代にあって、社会インフラ整備にも新しい考え方が必要となっている。

本論文で提案する社会システムに着目した「事業の広義の捉え方」は、これからの社会インフラ整備のVE活用に大きく貢献できるものである。

現在の日本経済は厳しい環境下にあり、価値向上を目的とするVEの必要性が高まってきている。VEは広範囲な事業分野に普及しつつあり、VEに取り 組む企業やVEL取得者も増えてきているが、VEが使いこなされ定着化してきているかというと、そこまでには至っていないのが現状である。VEが誰にでも 実践できない理由として、VE実施手順の代替案作成段階におけるアイデア発想、欠点克服のアイデア発想での行き詰まりが挙げられる。この打開策として、ア イデア発想をサポートする効果的な手法を望む声も高まっている。

一方、TRIZは、250万件を超える特許分析により、問題解決の方向性、 アイデア発想の視点・観点等を体系化したもので、VEへの活用については、これまでも取り上げられてきているがVE実施手順にどのように活用するかについ てはまだ確立されていない。そこで、一般的な製品改善のVE実施手順のどの段階にどのようにTRIZを活用するかについて具体的方法と手順を提案する。活 用段階は代替案作成段階における「アイデア発想」と、「具体化における欠点克服」であり、「技術的矛盾の解決アプローチ」と「物理的矛盾の解決アプロー チ」を活用する。

本論文をVEにおけるアイデア発想のツールとして活用することにより、VE活性化の一助となれば幸いである。